シャープは10月13日、プラズマクラスター技術を活用して、頭皮のバリア機能を向上させることで、育毛を促す効果が得られること、ならびにフケやかゆみの原因の1つであるマラセチア菌の繁殖抑制効果などを確認したと発表した。
育毛を促す効果検証については、同社がナショナルトラストに試験を委託し、HARG治療センター 新宿桜花クリニックにて、市販されているプラズマクラスターイオン発生装置(10万個/cm3)よりも15倍ほどイオン濃度が高い臨床試験専用イオン発生装置(150万個/cm3)を用いて、20~70歳代の育毛メソセラピー受診患者115名を対象に行ったもの。
試験内容としては、頭皮に対し、1日あたり約20分間のプラズマクラスターイオンを3カ月継続して照射。自然放置部位との毛髪本数および頭皮水分蒸散量の差を1カ月ごとに調べた結果、毛髪の増毛数は3カ月で約2.5倍の違いが生じたほか、頭皮の水分保持機能も統計学的な有意性が確認されたという。この結果について同社は、プラズマクラスターイオンの周囲に存在する水分子が肌にコートすることで、保湿効果が得られることがこれまでの研究から分かっているが、そうして毛髪に関わる細胞が活性しやすい環境を整えられることで、毛髪育成が支援されるためではないかという仕組みに対する見解を述べており、毛髪の細胞がすでに死んでいる場合には、効果はなく、あくまで毛髪が育ちやすい環境の構築を支援するものとしている。
一方のマラセチア菌の繁殖抑制効果などの試験は、頭皮が気になり、フケやかゆみを感じる40歳~63歳までの健常者の女性59名を対象に総合医科学研究所が実施。具体的には、1日5分間、12週間にわたって、市販品の33倍にあたる約330万/cm3)のイオンを放出する臨床試験専用理美容試験装置(頭皮に直接プラズマクラスターイオンが当たるように改造されたヘアドライヤー)と、単なる風を送るだけのドライヤーをあててもらい、その結果を比較するランダム化二重盲検並行群比較試験が行われた。
評価は「頭皮水分蒸散量」、「頭皮油分量」、「頭皮マセラチア菌」、「VAS(Visual Analogue Scale)」の4項目で、頭皮水分蒸散量、頭皮油分量ともに通常の風に比べて抑えられ、結果としてバリア機能の向上ならびに頭皮環境の改善効果が示されたとする。また、フケかゆみの原因の1つであるマラセチア菌の数もイオン照射により約64%抑制できることが確認され、被験者の主観評価であるVASの「頭皮のかゆみが気になる」という項目も、気にならない、という傾向が得られたとする。
これらの結果について試験を行った総合医科学研究所の代表取締役社長を務める杉野友啓氏は、「理美容分野における有効な手段であることが示されたことから、今後、健康で衛生的な美容の提供につながることが期待できるようになる」とコメント。シャープとしても、今後もプラズマクラスター技術を進化させ、さまざまな実証を進めていき、理美容分野での活用を模索していきたいとしている。