千葉工業大学(千葉工大)は10月11日、白金ナノギャップ構造を利用し600℃でも動作する不揮発性メモリ素子を開発したと発表した。

同成果は、千葉工大工学部機械電子創成工学科 菅洋志助教、産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門 内藤泰久主任研究員、物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 塚越 一仁主任研究者らの研究グループによるもので、10月11日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

通常のシリコン半導体を用いたメモリ素子では、バンドギャップに起因する半導体性を高温で保持できないため、メモリ機能を維持することができない。

今回、同研究グループは、千葉工大がもつナノギャップ電極の電極金属の結晶性改善技術を用いることで、高温時にメモリ性に寄与するナノ構造の構造変化のメカニズムを解明。この現象解明をもとに、電極金属に高温でも構造変化しにくい白金を電極素材として採用することで、高温でのメモリ動作を実現。書き込んだ状態も600℃で8時間以上保持した。

同研究グループによると、同メモリ素子は高温環境下でのメモリやセンサへの応用、たとえばフライトレコーダーや惑星探査機への応用が期待されるとしている。

600℃高温下での動作が確認された