ヤマハとヤマハ発動機が合同でデザインを手掛けた製品を展示するイベント「Two Yamahas, One Passion~デザイン展 2016~」が東京・六本木の六本木ヒルズ大屋根プラザで10月10日まで開催中だ。
今回で2回目の開催となる同イベントは、楽器と電動自動車というそれぞれ異なるフィールドでありながらも、同じヤマハブランドを掲げる企業同士によるコラボレーションにより、特にデザインの分野で生まれた商品を紹介。前回の展示会では、音を奏でる電動アシスト車いす「&Y01」、球体型ドラム「RAIJIN」などが展示された。
乗り物を操るような音響体験「&Y02」
今年の展示で目玉となるのは、本邦初公開となった「&Y02」。2社のデザイン部門が共同で取り組む、楽器や音響機器のデザインと、モーターサイクルなどモビリティのデザインが融合し得る可能性を探り、共通する"ヤマハらしさ"を体現する作品の創出を行うプロジェクト「&Y(アンディー)」の第2弾となる作品。
バイクの運転席のような操作部。ハンドルを操作する感覚で、音を操る |
座席後方に備えるジョイスティック。この部分を操作することで音が出力される位置が変わる。スティックは電動車椅子の操作部が採用されているとのこと |
18基のスピーカーを備えるドーム状のフレームの内側に5つのシートを備え、バイクのハンドルのような運転席で、まるで乗り物を操作する感覚でブレーキやアクセル、クラッチを操作することで楽曲を切り替えたり、音色を変えることなどができる新しい形の音響装置だ。さらに、座席後方に備えられたジョイスティックを操作することにより、音が発せられる位置を動かすことができ、これまでにはない音響体験を実現する。
「&Y02」は"走らないモビリティ"
ヤマハ デザイン研究所・所長の川田学氏。モーターサイクルをテーマに生まれたいうエレキギター「REVSTAR」を手に提げてトークを繰り広げた |
ヤマハ発動機 デザイン本部・本部長の長屋明浩氏は、"ネオレトロ"がテーマという「XSR900」にまたがり、ライダースタイルで登場 |
10月7日の初日には、各展示の担当デザイナーが出席した特別イベントも開催。「&Y02」のデモンストレーションや、2社のデザイン部門の責任者であるヤマハ デザイン研究所・所長の川田学氏とヤマハ発動機 デザイン本部・本部長の長屋明浩氏によるトークショーが行われた。
長屋氏によると、今回初お披露目となった「&Y02」は"走らないモビリティ"。「楽器のようで楽器でない、乗り物のようで乗り物でない。それが&Y02だと思います」と語る。
また、"ヤマハらしさ"について訊ねられると、「趣味と遊び心を大切にしていること。理屈よりも気持ちで勝負するというところがあって、我々の製品は、使う人にとって道具を超えた、長く愛用してもらえる人生のパートナーでありたいと思ってつくっている」と川田氏。
長屋氏も「業界のパイオニアとして、新しいもの、世界初となる製品に挑戦していく必要がある。ただし、それにはもちろん信頼性が伴わなければならず、遊び心があって新しくにも、安心して楽しめることがヤマハらしさ」と続けた。
この他、ヤマハからはエレクトリックバイオリン「YEV」、バイクに着想を得てデザインされたエレキギター「REVSTAR」など4作品を展示。ヤマハ発動機は、"動く縁側"をコンセプトに設計された電動4輪車「06GEN」、体を包む"衣"から発想が生まれた3輪電動アシスト車「05GEN」など5作品が紹介されている。
日本初披露の「04GEN」。"RUN-WAY"をコンセプトに、心と身体を磨き、気高い品位を感じさせる女性をイメージしてデザインされたスクーターのコンセプトモデル |
「05GEN」。体を優しくくるむ"衣"の発想のもとデザインされた3輪モビリティ。ちょっとした外出の最適な形を提案 |