IDC Japanが10月5日に発表した「国内中堅中小企業IT市場におけるベンダー動向分析結果」によると、中堅・中小企業(従業員規模が999人以下の企業)がサーバ/PCといったハードウェアやパッケージ・ソフトウェアの選定及び購入先の選定では価格を最重要視しており、製品のコモディティ化が進むという。
同分析結果は、同社が2016年3月中旬に実施した「国内中堅中小企業ユーザー調査結果」を基に、ハードウェア(サーバ/PC)、及びパッケージ・ソフトウェアの利用動向を分析すると共に、主要ベンダーやSIerなどへのヒアリング調査結果から中堅・中小企業向けビジネスの動向と今後の展望に関して分析したもの。
中堅・中小企業向け製品のコモディティ化が進むことで、ベンダーや販売チャネルにおいて製品単位での差別化は困難になっていくと同社は見込んでいる。
大手国内ベンダー及び外資系ベンダーでは中堅・中小企業向けビジネス強化を継続的に図っており、営業体制の強化やビジネス・パートナーの支援の拡充を図っている他、事業戦略など支援の幅が拡大しているという。特に、販売パートナー向けにクラウドの取り扱いの支援を強化しているとのこと。
SIerや販売代理店においても、収益拡大及び差別化を図るために新しいソリューションと組み合わせた提案を積極的に行っているという。特に、従業員規模に関わらずニーズが高まっているモバイルに加えて、徐々にニーズが拡大するというクラウドやデータ・アナリティクス関連のソリューション提供を行うSIerも増加しているとのことだ。
国内中堅・中小企業IT市場では、従来のような既存システムの更新案件中心のビジネスは縮小傾向となるだけではなく、他社との差別化も困難となっていると同社は指摘する。
ユーザー企業へのアプローチの拡充または包括的なサポートなどの積極的な提供により他社との差別化を図る必要があるとしながらも、ベンダーやSIerによる単独での対応は困難な場合も多くあるとしている。
同社ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITベンダーは、販売パートナーだけではなく、他業態の企業も含めてエコシステムの構築を目指すべきである」と分析している。