2016年9月にルネサス エレクトロニクスはアナログICビジネスの強化策として、米Intersilを32憶2000億ドルで買収すると発表した。また、同年7月にはアナログIC大手の米Analog Devices(ADI)が米Linear Technology(LCT)を148億ドルで買収することを決めた。これらの買収はアナログIC業界のランキングにどんな影響をおよぼすのだろうか。米国半導体市場調査企業の1社であるSemiconductor Intelligenceがこれらの買収を考慮した2016年度ランキング予測(2016年9月時点)を発表した(表1)。
まず2015年の世界アナログIC市場ランキングを押さえておこう。ADIは4位、LTCは8位、ルネサスは10位だった。トップは、2位以下に大きく差を付けて独走態勢の米国Texas Instruments(TI)だ。2位は、TIの1/3の規模で独Infineon Technologiesとなっている。3位以下には、米Skyworks、ADI、STMicroelectronics…と並ぶがいずれも世界シェアは数%に過ぎず、アナログIC業界は多数の弱小企業の集合体となっている。
アナログIC企業は離合集散の連続
20年前の1995年ランキング(Gartner調べ:当時はDataquestと呼ばれていた)では、トップはSTMicroelectronicsだった。2位の蘭Philipsは2006年の分社化でNXP Semiconductorへと社名を変えた。3位の米National Semiconductor(NS)は2011年にTIに買収されて伝統ある社名とロゴマークが消えた。4位の米Motorolaも1990年にON Semiconductor、2003年にFreescale Semiconductorへと2段階の分社化した。9位の独Siemensは半導体事業の分社化でInfineon Technologiesへと名前を変えた。1995年のランキングには、日本企業が3社入っていたが、そのうち、三洋電機半導体部門はON Semiconductorに買収され、NECの半導体部門は、日立製作所と三菱電機の合弁であるルネサス テクノロジーとの事業統合で現在はルネサス エレクトロニクスとなっている。東芝はそのまま存続してはいるが、構造改革でアナログICは縮小し2015年にはランク外となっている。このように、アナログICサプライヤは、離合集散の連続だったし、これからもM&Aは続くだろう。