アジレント・テクノロジー(アジレント)は10月5日、11月1日付でダコ・ジャパン(ダコ)を吸収合併すると発表した。
もともとは研究開発用の化学分析装置を中心に事業展開してきたアジレントだが、近年ではライフサイエンス分野、臨床診断分野へとその市場を広げている。こうした流れのなか、2012年に米Agilent Technologiesは、デンマークのがん診断関連企業ダコを22億ドルで買収した。
同買収の目的について、アジレント・テクノロジーの代表取締役社長 合田豊治氏は、「悲しいことだが、がんのマーケットはいまだに二桁成長ということもあり、アジレントはがんにフォーカスした診断分野を狙っている。将来的に遺伝子診断分野へ打って出るためにも、足場を確保したいという意味がある」と説明する。
買収以降、アジレントはダコをグループ会社として事業展開してきたが、今回の吸収合併によりダコの名前は無くなり、11月上旬を目途にグローバル全体での両社の統合が完了する予定。ダコの提供していた製品、サービス、従業員等はすべてアジレントに継承されるが、ダコのロゴおよび製品登録はそのまま残る形となる。ダコ製品のサブブランドは「Agilent Pathology Solutions」に変更、サービスは「Agilent Cross Lab Diagnostic」へと名前を変える。
合田氏が「ひとつのアジレントという会社として、包括的な診断ソリューションの開発を目指す。メタボロミクス分野では、すでに特定の先生とがんを発見するためのアミノ酸分析を行っており、国内でも分析装置を医療機器とするために各方面に働きかけていかなければならない」と語るように、吸収合併により、診断分野や病院に対し、診断ソリューションを提供する会社としてのイメージを定着させていくことがその大きな狙いだ。病理診断と分子診断が同じ部署で行われるようになりつつあるというグローバルの流れを汲む意図もある。
今回のダコの吸収合併のほかアジレントは、次世代シーケンス技術(NGS)を持つCartageniaの買収やLasergenへの投資による臨床ゲノミクスのワークフローの強化、抗PD-L1免疫療法向けのコンパニオン診断テストの開発を進めるなど、臨床診断分野への本格進出に向けた動きを加速させている。