「つながる社会、共創する未来」をテーマに、千葉県の幕張メッセで17回目となる『CEATEC JAPAN 2016』が10月4日から7日まで、千葉の幕張メッセで開催されているが、NECのブースでは得意の顔認証のほか、イヤホンから流れる音の反射によって認証するシステムが展示されていた。
リオオリンピックでも使われたウォークスルー顔認証システム
NECのブースでは、リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピックの「Tokyo 2020 JAPAN HOUSE」で実際に利用された「ウォークスルー顔認証システム」を展示。こちらは、IDカードと顔認証の2つでの認証する。カメラの前で立ち止まることなく歩きながら顔認証が可能。顔認証エンジンには「NeoFace」を利用し、事前に撮影・登録したメディア関係者の顔画像と、ゲートに設置したカメラで撮影した顔画像を照合して本人確認を行う。
顔認証で犯罪防止
また、NECのブースでは研究開発中のソリューションとして、犯罪予防・迅速な捜査を実現する映像分析技術を展示。顔認証により、何度も同じ場所に現れる人、不審な行動を行う人、複数の放火現場に現れる人などを抽出。犯罪予防や捜査を支援する。このソリューションには同社のAI技術「NEC the WISE」も利用されている。
耳穴の形状を利用した生体認証
さらに同社ブースでは、耳穴の形状を利用した生体認証技術を展示していた。これは長岡技術科学大学の協力により、人間の耳穴の形状によって決まる音の反響を用いた新たな生体認証技術。マイクロホン一体型イヤホン(以下、マイク一体型イヤホン)を耳に装着し、耳の穴で反響したイヤホンの音をマイクから収集することで、個人特有の耳の形状によって決まる音響特性を測定する。
同社によれば、音響特性から個人の判別に有効な特徴量を抽出する独自技術により、認証率99%以上を実現するという。警備員や医療現場などの作業員認証などを想定しており、2018年度中の実用化を目指している。
経済産業大臣賞を受賞した網膜をディスプレイにする富士通のレーザアイウェア
生体を利用したソリューションとしては、富士通が「網膜走査型レーザアイウェア」を展示。ヘッドマウントディスプレイの一種だが、一般的なヘッドマウントディスプレイは、レンズ部分にあるディスプレイを見る形式だが、網膜走査型レーザアイウェアは、網膜自体をディスプレイとして利用。カメラ映像を網膜に走査線を描くことによって投影する。そのため、近視や老眼の人でも焦点が合うというメリットがあるという。
なお、こちらの製品は、CEATEC AWARD 2016の経済産業大臣賞を受賞。CEATEC AWARD審査委員会は、この製品を次のように評価している。
「眼のピント調整が不要なフリーフォーカス、突出部がなく自然な外観を実現するユニバーサルデザインなど種々の利点を持ち、従来技術を置き換える可能性が大きい。ロービジョン者の視覚支援、AR/VRの高度利用など、多方面での活用が期待される重要技術」