ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲートとモバイル・インターネットキャピタル(MIC)の2社は10月3日、都内で記者会見を開き、産業用IoT向けに高速な通信プラットフォームを提供する合弁会社「LTE-X」を設立したと発表した。

ワイヤレスゲート 代表取締役CEO兼LTE-X 代表取締役CEOの池田武弘氏

今後はIoTの本格的な普及期を迎えるにあたり、多くの機器を通信で結ぶことが必要とされており、現在の市場では低容量データ通信を対象としたIoTプラットフォームは構築されつつあると同社は認識している。このような状況下において、高速かつ大容量、セキュアにデータを扱えるプラットフォームが、産業用のIoT通信の分野を中心にニーズが高まっているという。

冒頭、ワイヤレスゲート 代表取締役CEO兼LTE-X 代表取締役CEOの池田武弘氏は「IoT分野は伸びしろがあり、今後はわれわれならではの付加価値を付けて市場に参入し、nCore Communicationsの『LTE over Wi-Fi』で勝負する。IoTを活用するにあたり、Wi-Fiは優れた通信インフラである一方、セキュリティが課題だ。同技術は高いセキュリティ性を確保しており、高速かつ大容量、高セキュリティの通信プラットフォームを提供できる」と述べた。

LTE-Xは、高速かつ大容量、セキュアな通信プラットフォームを提供し、プラットフォームのコアテクノロジーはワイヤレスゲートが出資する米 nCore Communicationsの「LTE over Wi-Fi」(LTEトネリング技術)を活用。主要なターゲットは、工場や病院、セキュリティ、物流などの市場を想定している。

同技術は、Wi-FiアクセスポイントをLTEの基地局のように動作させ、LTEネットワークが有する機能をWi-Fi上で実現。これにより、LTEの基地局設置のための大規模な投資をすることなく、安価にプラットフォームを構築することができるという。

「LTE over X」の概念

また池田氏は「販売戦略はNECネッツエスアイやハタプロとパートナーシップを締結しているほか、Microsoft Azure IoT SuiteやIBM Watson IoTといった既存プラットフォームで使われることが決定している。IoTの活用により日本が再び世界の産業をリードすることに貢献し、将来的な関連ビジネス規模として売上高1000億円、営業利益100億円を目指す」と合弁会社の今後の事業展開に期待を寄せた。

なお、合弁会社は9月20日に設立し、LTE over Wi-Fiの利用において日本国内独占ライセンスを持つ。出資比率はワイヤレスゲートが51%、MICが49%、資本金は100万(段階的に2億5000万円程度まで追加出資)。2016年中にプラットフォームシステムの完成、2017年初頭をめどに商用サービスの開始をそれぞれ予定している。

池田氏ら関係者