トヨタ自動車(トヨタ)は9月23日、作物の品種改良に必要な遺伝子の特定・選抜を飛躍的に効率化できるDNA解析技術GRAS(Genotyping by Random Amplicon Sequencing)を新たに開発したと発表した。
同研究は農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターから解析材料の提供を受けて行われ、成果は9月24日から開催される日本育種学会で発表される。
トヨタは、持続可能な社会の実現に向け、地球温暖化防止、エネルギーセキュリティーなどの観点から、車両の燃費向上への取り組みに加え、バイオ関連事業にも取り組んでいる。自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、農業IT管理ツール「豊作計画」を開発・提供している一方、代替燃料の一つであるバイオ燃料に適しているサトウキビの増産に向けた技術開発も進めてきた。
これまで、作物の増産に向けた品種改良は、過去の膨大な品種改良実績に基づき両親になる品種を選定・交配し、長期間多数の子孫を評価することで、目的の特性を有する子孫を新品種として選抜していた。近年では、遺伝子情報を利用して特性を予測する「マーカー技術」が実用化され、品種改良の効率化が進められているが、DNAの解析期間が長く高コストという課題が存在していた。
今回の研究では独自のサンプル調整技術と次世代シーケンサーを組み合わせることで、有用な遺伝子を特定・選抜する作業工程を大幅に簡略化することが可能な技術(GRAS)を開発。同技術を用いると、これまでと比較して約1/10の期間、約1/3のコストでDNAの解析が可能だという。これにより、バイオマス生産性や耐病性の向上によって、サトウキビの増産、単位面積あたりのバイオ燃料生産量向上が期待できるとする。
トヨタは同技術について、バイオ燃料の増産だけでなく、農業分野への応用も視野に、情報開示・提供に積極的に対応していくとしている。