米ウッズホール海洋研究所(WHOI)などの国際研究グループが、ギリシャ沖の地中海で推定約2,100年前に沈んだ難破船付近から保存状態の良い人骨を見つけた、とホームページなどで20日(日本時間)、発表した。人骨は難破船の関係者とみられ、DNA鑑定などにより貴重な考古学的な知見が得られる可能性があるという。
沈没した難破船は、ギリシャ沖のアンティキチラ島近くの海底から1900年に発見されて引き揚げられた。今から約2,100年も前の穀物輸送船とみられるという。船内からは大理石の彫像や多くの雑貨類も見つかった。今回研究グループによる深海探査で見つかった人骨は、頭蓋骨のほか、顎や歯、腕や脚など体の主要部分が揃っていた。
研究グループは、今後この人骨を詳しく調べるが、鑑定できる量のDNAが骨にあれば難破船の乗員の民族性などさまざまなことが分かる可能性があるという。
研究グループの一人は「海底から2,000年以上を経た人骨が保存状態良く見つかったのはこれまでの見方に反して信じがたいことだ」としている。難破船の乗員らの骨はほとんどの場合、骨自体が分解したり、魚に食べられてしまい、2,100年もの長期間保存された例はないとみられる。
米ウッズホール海洋研究所は米国の代表的な海洋研究機関で、国際共同研究を通じて日本の海洋開発研究機構(JAMSTEC)などの研究機関や大学との交流も盛んに行われている。
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