NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と三井化学は9月15日、ガス製品製造過程において、原料や炉の状態などの「プロセスデータ」と、ガス製品の品質を示す「Xガス濃度」との関係を、ディープラーニング(深層学習)を用いてモデル化することにより、プロセスデータ収集時から20分後のガス製品の品質(Xガス濃度)を高精度で予測することに成功したと発表した。
化学プラントにおける製品の品質異常検知は従来、特定プロセスのデータに対する閾値を用いた異常の自動検知や、経験を積んだ従業員の目視による評価などにより行われていた。
両社は2015年より三井化学のガス製品プラントを実験の場として、プラント内から収集される原料ごとの流量や圧力、反応炉内各部の温度などのデータを、NTT Comが開発したディープラーニング技術により、分析・予測するモデルの開発に取り組んでいる。
今回の実験では、ガス製品プラントに投入する全原料の温度、圧力、流量や反応炉の各種設定値など51種類のプロセスデータと、Xガス濃度の値との関係を、化学反応に要する時間も踏まえて事前にAIに学習させることで、ガス製品濃度を推定するモデルの生成を行った。この結果、同モデルにより算出されたXガス濃度の推定値を、プロセスデータ取得から20分後の実際のXガス濃度の値と平均誤差3%FS以内とすることに成功した。
両社は今後、同モデルを発展させることでXガス濃度の推定値の精度をさらに向上させ、化学プラントの未来の状態を予測し、製品の品質異常を予知するだけでなく、その推定値を用いたセンサ、測定器異常の検知にもつなげていきたいとしている。