U-NEXTの子会社であるU-NEXTマーケティングとアドバンスト・メディアは9月14日、都内で記者会見を開き、会話や言葉を認識、解析する人工知能を活用した新たな自動応答コンタクトセンターサービス「AIコンシェルジュ」を発表し、提供を開始した。
AIコンシェルジュは、企業などのコンタクトセンターにおける問い合わせや商品の申込対応(受注)、販売といった業務の一部を人工知能により対応し、有人による応対量、応対時間削減が可能でコンタクトセンターの効率的な運営に寄与することができるという。
U-NEXTマーケティング 代表取締役社長の溝辺和広氏は「将来的なコンタクトセンターの市場規模は微増ではあるが、拡大傾向にある。しかし、近年は労働人口の減少に伴う人件費の高騰しているほか、オペレータの効率や品質向上は限界があり、今後のコンタクトセンター市場は変革が起こらないのではないかと感じている。そのような状況を踏まえ『AIコンシェルジュ』を共同開発した。AIコンシェルジュは、顧客が発する自然な会話を音声認識技術によりテキスト化し、AIが最適解を抽出したうえで、テキストを音声合成技術で音声化する。顧客は会話をしているような感覚で問い合わせや質問などの問題解決が図れる」と述べた。
活用例として、従来のコンタクトセンターでコールが集中しやすい時間帯にエンドユーザーの顧客がAIでの対応も選択でき、問題解決を行い、深夜や早朝などの営業時間外にも応答サービスを受けることができるようになる。また、オペレーターを配置している場合でも、AIが対応FAQの代わりとなり、スムーズな顧客応対も可能としている。
例えば、顧客からの受付や手続き、問い合わせなど対話を通じてシステム一人称で応対するほか、顧客の曖昧な質問や言葉の揺らぎには問い直しを行い、内容を特定し、質問や問い合わせを正確に把握することで、精度・品質の高い回答を行うという。
また、応対履歴はすべて顧客データベースに保存され、U-NEXTマーケティングがその応対内容をモニタリング(チェック)し、最適な回答へのチューニング作業を行う。
さらに、AIが自動応答で解決できない内容などは有人オペレーターにエスカレーションすることで、未解決を防止するとともに応対を学習させることで、次回以降の応対に活かすサイクルを行い、AIの応対品質、精度の向上が図れるとしている。
アドバンスト・メディア 応用技術開発部 SEC営業部長の森脇健氏は「AIコンシェルジュは、われわれの音声認識技術『AmiVoice』とAI対話エンジン『AOI』を組み合わせたAI対話ソリューション『AmiAgent』、U-NEXTのサービスをベースに開発した。運用する際に重要なのは稼働データであり、いかに収集するかが1つのテーマとなる。われわれが技術を提供し、U-NEXTマーケティングでは運用により得られたデータをフィードバックすることで精度を向上させていき、システムと運用が一体となったサービスを目指す。今後、電話応答だけでなく、営業販売促進や高齢者の見守り、対話型サイネージなど、あらゆる分野でAIコンシェルジュをはじめとしたAI音声対話システムが活用されていくだろう」と説明した。
今後、U-NEXTマーケティングでは普及価格帯の価格戦略でユーザーを積み上げ、2017年に30社、2021年までに400社への導入を目指すとともに、40億円の売り上げを計画している。