J.D. パワー アジア・パシフィック(J.D. パワー)は9月12日、2016年日本クラウドサービス提供事業者顧客満足度調査の結果を発表した。本調査は、法人向けのクラウドサービスに関する顧客満足度を調べるもので、IaaS/PaaS型クラウドサービス(ホスティング・レンタルサーバーも含む)に関する調査と、クラウド型グループウェアの販売・導入支援を行うシステムベンダーに関する調査の2つを実施したもの。
調査は全国の従業員規模50名以上の企業を対象に2016年7月に郵送調査によって行い、IaaS/PaaS型クラウドサービスについては723社から、クラウド型グループウェア導入ベンダーについては585社から回答を得たもの。なお、IaaS/PaaS型クラウドサービスについては1回答社から最大2つのサービス事業者の評価を得ており、評価件数は820件。
顧客満足度の測定にあたっては、IaaS/PaaS型クラウドサービスでは「サービス内容/品質」「障害・トラブル対応」「営業・導入対応」「コスト」の4つのファクターを、クラウド型グループウェア導入ベンダーについては「導入・構築対応」「導入後サポート」「コスト」「営業対応」の4つのファクターをそれぞれ設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに、総合満足度スコアを算出している(1,000ポイント満点)。
IaaS/PaaS型クラウドサービスの顧客満足度は、ランキング対象となった5社中、NTTコミュニケーションズが第1位(総合満足度スコアは611ポイント)。第2位はアマゾンウェブサービス(AWS)とKDDIが僅差で続く(同610ポイント)。NTTコミュニケーションズは「営業・導入対応」ファクターで5社中、最も高い評価を得ている。
クラウド型グループウェア導入ベンダーの顧客満足度は、ランキング対象となった5社中、ソフトバンクが第1位(総合満足度スコアは609ポイント)となった。第2位はKDDI(同600ポイント)、第3位はサイボウズ(同593ポイント)となった。ソフトバンクは「導入・構築対応」と「営業対応」の2ファクターで最も高いスコアとなっている。
業界全体でみるとIaaS/PaaS型クラウドサービスの満足度では、前述の4つのファクターのうち「障害・トラブル対応」のスコアが最も低い結果となった。詳細項目でみると “復旧・解決にかかる時間”の評価が最も低い。「障害・トラブル対応」はサービス事業者間のスコア差が最も大きいファクターとなっており、バラつきが大きい領域ともなっている。障害原因や問題箇所の切り分け・特定の支援等、顧客側でのトラブル発生の際のサポート体制強化が望まれる。
また、クラウド型グループウェア導入ベンダーに対する満足度では「営業対応」ファクターの評価が4ファクター中、最も低い結果となっており、詳細項目でみると“導入したサービスに対するフォローアップ(様子伺いや情報提供等)”のスコアが低い。この導入後のフォローアップについてはIaaS/PaaSサービスにおいても同様に低い評価傾向にある。「サービス納入後における定期的な顧客との関係作りはCS活動の基本でもあり、また他サービス提供のきっかけ作りともなる。ネットの向こう側となるクラウドサービスではあるが、やはり顧客との接点をいかに維持していくかも重要な検討課題だ」と分析している。