IDC Japanは9月6日、「国内ストレージソフトウェア市場実績および予測」を発表した。これによると、2015年の国内ストレージ・ソフトウェア市場全体の売上額は前年比2.3%増の915億9300万円となり、2015年~2020年の平均年間成長率(CAGR)は2.1%と成長し、2020年の市場規模は1015億7400万円に達するという。
ITインフラの運用をソフトウェアの導入により効率化・自動化する流れは継続しており、ストレージ運用についてもユーザーが高度なソフトウェア機能を利用する機会は増加している一方、ストレージ・ベンダーの販売戦略としてはソフトウェアの標準バンドルや無償化が進み、国内市場の売上規模は低成長傾向だという。
しかし、低成長なストレージ・ソフトウェア市場において急速に規模を拡大しているSDS(Software-Defined Storage)コントロール・ソフトウェア市場では、新興ベンダーの動きを追うように大手ベンダーも製品を投入しており、セグメントとしての売上規模は小さいながらも、メインストリームに向かって確実に歩を進めている状況とIDC Japanでは想定している。
2015年の国内ストレージ・ソフトウェア市場におけるベンダー・シェアの上位には、1位EMC、2位ベリタス、3位IBMの3社が前年に引き続きランク入りしている。3社の売上成長率は市場全体の数値を上回っており、下位との差が開いた状況で、大規模ユーザーを中心顧客として課題解決型のセールスを展開している共通点があると同社は指摘する。
IDC Japanのエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーである鈴木康介氏は、「ストレージ・ソフトウェアの需要面では、ストレージ管理の迅速性・経済性・安全性をいかに高めるか、ソフトウェアに求められる役割は今後ますます重要となる。しかし、その一方で、運用の簡素化を訴求点に市場浸透を図るオール・フラッシュ・アレイの影響により、ストレージ・ソフトウェアのスイート化、標準バンドル化は一層進むであろう。そのため、機能面での要求の高まりに反し、売上規模は低成長となる」と分析している。