中国のファーウェイは、8月31日~9月2日、中国上海で同社の年次イベント「HUAWEI CONNECT 2016」を開催。2日日の基調講演ではファーウェイ 輪番CEO 兼取締役副会長 徐直軍(エリック・シュー)氏が登壇。同氏は「Technological Innovation to Shape the Cloud」と題した講演を行った。
通信事業者向けの売上げが半分以上を占めるファーウェイにとって、法人向けICT事業の参入は2011年と後発だ。同社の2015年度の売り上げ約7兆3000億円の中で、法人向けICTが占める割合は約5,100億円で7%程度だ。では、なぜ同社は企業向けICT事業に参入したのか?
エリック・シュー氏は、冒頭、この点について触れ「クラウドが時代を変える可能性があり、大きなチャンスだと思ったからだ」と説明した。
初日の基調講演では、 輪番CEOの一人である胡厚崑(ケン・フー)氏が、今後訪れるクラウド2.0の世界を語ったが、エリック・シュー氏は、クラウド2.0時代のデジタルカンパニーになるために企業は何をすべきかを語った。
同氏はまず、すべてをつなげることが重要だとした。
「企業がデジタルカンパニーになるためには、まず、人と人、人と物、物と物のすべてをつなげなければならない。それは、お客様やパートナーも含めてのことだ。我々はリアルタイムで意思決定する必要があり、そうすることで、より効率的に、より効果的に、よりインテリジェンスになれる。我々はお客様、パートナー、社員と一体化した体験をしなければならない」(エリック・シュー氏)
同氏は講演の中でデジタルカンパニーの成功事例として、ハーレーダビッドソンを挙げた。
「バイクのハーレーは、生産ラインがすべて一体化され、1200の部品を組み立てる時間はわずか89秒だ。この管理は秒レベルだ。生産ラインが一体化されるまで21日を要していたユーザーが注文してから引き渡すまでの時間は、今ではわずか6時間だ。このように、デジタルカンパニーになるためには、デジタルトランスフォーメーションをいかに早く、正確に行うのかがポイントだ。それが、企業の競争力になる」(エリック・シュー氏)
そのためには、クラウドを受け入れ、そして溶け込み、クラウドの技術を使ってお客様によりよい体験を提供することが大切だと同氏は指摘する。そして、クラウド1.0の成功企業であるAmazonやセールスフォースなどが、成功したユースケースを作っているので、これと同じようなことをすれば良いとした。
しかし、すべての企業がこのようなことができるとは限らない。同氏はそのような企業に向け、「クラウドの原点に立ち返る必要がある。クラウドをしっかり立ち上げ、しっかりと使い、しっかりと管理することだ」とアドバイスした。
そして、クラウド使うメリットについて、開発環境、セキュリティ、ネットワーク管理を例に挙げ、開発環境については、「企業が今苦しんでいるのはアプリ開発のアジャイル化だ。世の中の開発者は、似たような機能を繰り返し開発している。そのため、みんなが同じプラットフォームで開発すれば開発者はアプリの部分だけに注力できる」とし、セキュリティについては「クラウドであれば、自分に合わせて選択でき、コスト面でも有利だ。また、リアルタイムで脅威を管理できる」と具体的なメリットを挙げた。
そして最後に、「デジタルカンパニーに向けてはCIOの役割が重要で、Information、Innovation、Interconnectの3つの役割を担わなければならない。ファーウェイはそれをパートナーと後押ししていく」と述べた。