NECと三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、三井住友銀行(SMBC)は8月31日、都内で記者会見を開き、2014年にNECとSMBCの共同出資により設立したブリースコーポレーションを通じ、FinTechサービスとして、スマートフォンを用いた新たなコンビニ収納サービスを2017年2月~3月をめどに提供開始すると発表した。
ブリースコーポレーション 代表取締役社長の佐藤洋史氏は新サービスについて「NECのICTの技術力、SMBCの金融ノウハウと顧客基盤を最大限に活用し、FinTechの第1弾のサービスとして展開していく。新サービスの利用により、スマートフォンがあればいつでもすぐに支払いが可能になり、払い忘れを防ぐことができる。請求事業者はペーパーレスを推進できるため、請求にかかるコスト低減と時間短縮が図れるほか、コンビニエンスストアは店舗業務の効率化が図れる」と述べた。
現在、公共料金や通信販売の代金などをコンビニ収納サービスで支払う場合、利用者は主に紙に印刷された払込票を持ち込み、店頭レジにおいて現金で支払っている。また、桁数の大きなバーコードをスマートフォンの画面上に表示させると、レジのスキャナで読み取りにくいという課題がある。
新サービスは、払込票上にバーコードで表示された支払情報をスマートフォンの画面上に電子バーコードとして表示することで、支払いが可能になるペーパーレスのコンビニ収納サービス。ブリースコーポレーションでは新技術を活用することで、コンビニ収納サービスで標準的に採用されている44桁のバーコードを表示させても、レジのスキャナで正確に読み取ることを実現した。
これまで、同社は新サービスの実用化に向けて、さまざまな種類のスマートフォンで電子バーコードの読み取りテストや試作アプリケーションの動作確認テストに加え、請求事業者の協力による実証実験などの検討を進めてきたという。
従来、コンビニの店頭で支払う際、請求事業者から郵送される払込票やコンビニ店内のマルチメディアキオスク端末で発行した払込票の表示が必要だった。しかし、新サービスは利用者があらかじめスマートフォンにインストールしたアプリケーションにより表示される電子バーコードを表示し、これを店員がレジのスキャナで読み取ることで現金支払いが可能となる。
利用者は、紙に代わりスマートフォン上で支払い管理が可能となり、請求事業者は払込票の発行、郵送などの事務コストが低減され、コンビニは払込票の管理負担の低減につながり、三者にとって利便性と効率性の向上が見込める。
今後、新サービスを請求事業者だけでなく、請求事業者の決済サービス導入を代行する決済代行会社に提供するとともに、全国のコンビニで取り扱いを可能にしていくという。また、ポイントカードやキャッシュカード、クレジットカードに加え、顔認証や家計簿アプリケーションとの連携などオープンイノベーションによる、さまざまな業種・業態の事業者やサービスとの連携を検討している。さらに、ベンチャーやスタートアップ企業などと協業し、2020年にはコンビニ収納代行市場シェアで20%、年間総取扱高は2兆円を目指す考えだ。
NEC 執行役員常務 西村知典氏は「FinTech市場において幅広い金融サービスを取り扱うSMBCとの連携は両社の成長を通じた顧客への価値貢献のために重要だと考えている。両社でのFinTechサービスの創出を狙い、2014年に部リースコーポレーションを設立し、これまで市場機会の観察や事業検証を進めており、このたび事業開始の合意に至った。NECは今回の取り組みにより、新たなビジネス領域に挑戦する」と今後の事業展開に期待を寄せた。