米ヴイエムウェアは8月28日(現地時間)、年次イベント「VMworld 2016」をスタートした。29日の基調講演では、プライベートクラウドの構築・実行と運用管理を容易にする統合プラットフォーム「VMware Cloud Foundation」などの新製品を発表。本稿では、同社が発表した新製品を紹介する。
「VMware Cloud Foundation」は、同社が2015年8月に発表したハイパーコンバージド・インフラ(垂直統合型システム)である「EVO SDDC(Software-Defined Data Center)」の後継に当たるもの。ストレージ管理やクラウドの自動化、ネットワークの仮想化といった大規模環境でSDDCを実現させるための機能を提供する。
包含されるのは、ハイパーコンバージド・ソフトウェアの「vSphere」および「Virtual SAN」、ネットワーク仮想化プラットフォームの「VMware NSX」で、インフラとソフトウェアの両方を統合管理し、導入や管理を自動化するツールとして「VMware SDDC Manager」が搭載される。
VMware Cloud Foundationは、パブリッククラウド環境に求められる、すべてのSDDC機能を「as a service(サービスとして)」で提供するオプションを備える。これにより、例えば、IBMのクラウドプラットフォーム上でヴイエムウェアのSDDCを展開することも可能になる。
ヴイエムウェアとIBMは2016年2月に戦略的提携を発表している。ヴイエムウェアはすでに、IBMのクラウドプラットフォーム上で、事前構成済みのVMware SDDC環境を自動でプロビジョニングできるようにするアーキテクチャを提供している。IBMはvCloud Air Networkのパートナーとして、VMware Cloud Foundationを最初に提供するパートナーとなる。なお、今後は他のvCloud Air Networkパートナーも、随時サービスを提供していく予定であるという。
また、プライベートクラウド向けの展開オプションとしては、EMCの「VxRack System」のほか、Dell、HP Enterprise、Quanta Computerから提供される正規の「VMware Virtual SAN Ready Nodes」をはじめ、大手ネットワーク機器ベンダーから提供されるネットワークスイッチを組み合わせても構築できるとのことだ。
AWSとAzureを同時に管理できるようにするサービスも発表
あわせて、プライベートクラウドだけでなく、「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」といったパブリッククラウド上で稼働するアプリケーションも横断的に管理できる「VMware Cross-Cloud Services」も発表された。SaaS(Software as a Service)モデルで提供される。現時点ではテックプレビュー版で、サービスの提供開始時期は未定だという。
ヴイエムウェアは「VMware Cross-Cloud Services」について、「IT部門がデータ/アプリケーションを保護、コストを管理しながら、開発者やビジネスの現場が選択したクラウドで、アプリケーションやサービスを実現できるように支援する」としている。
本稿執筆時点で明らかになっている機能は以下のとおり。
パブリック クラウド アプリケーションのディスカバリ、オンボーディング、統制を実現する機能
マイクロセグメンテーションとモニタリングの機能で、複数のクラウドを広がるクロスクラウドのアプリケーションのセキュリティとコンプライアンスを確立する機能
開発者によるクラウド全体での開発と、IT部門によるクロスクラウドアプリケーションのセキュリティとコンプライアンスを管理する機能
本誌では追って、基調講演の模様をお届けする予定だ。