小笠原諸島・南鳥島(東京都)周辺の深海底に、レアメタル(希少金属)が含まれるマンガン団塊(マンガンノジュール)の広大な密集域があることを、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学、千葉工業大学の共同研究グループが見つけ、このほど発表した。海底の海山斜面にマンガン団塊が小規模分布していることは知られていたが、深海底で広大な密集域が発見されたのは初めてという
共同研究グループによると、見つかった密集域は、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)の南部から東部にかけての水深5,500~5,800メートルの深海域。総面積は推計約4万4千平方キロメートルにも及ぶ。
共同研究グループは、2013~15年度に深海調査研究船「かいれい」と海洋地球研究船「みらい」を使って、南鳥島周辺海域の海底の音波反射強度調査を実施した。その結果、EEZ南部から南東部の深海底にマンガン団塊があるとみられることが分かった。この成果を受けて今年4月、この海域に有人潜水調査船「しんかい6500」を派遣、広大な密集域があることを確認した。さらに団塊を採取して調べたところ、マンガンのほか、コバルトやニッケル、モリブデンなどのレアメタルも含まれていた、という。
JAMSTECなどのこれまでの調査により、南鳥島沖の深海底には、マンガン団塊のほかにも、レアアース(希土類)を豊富に含んだ泥質堆積物(レアアース泥)やコバルトを多く含む「コバルトリッチクラスト」も分布していることが明らかになっている。共同研究グループは、これら3種類の貴重な海底鉱物資源の成因などを解明する。
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