免疫生物研究所は8月29日、ニッピとの共同研究により開発した「遺伝子組換えカイコにより生産したラミニン511-E8」を、iPS細胞などの培養足場材として用いる研究用試薬「iMatrix-511 Silk」として発売すると発表した。同製品は9月5日より、マトリクソームを通じて販売される。

ラミニン511-E8は、細胞外マトリックス成分のひとつであるラミニン511の細胞接着活性部位を含む断片であり、大阪大学および京都大学が、iPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞の培養足場材として有効であることを見出している。

ニッピがチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を用いて製造しているラミニン511-E8(iMatrix-511)は、マウス肉腫組織抽出物由来の足場材などに比べると割高であることが課題となっていた。

iMatrix-511 Silkは、CHO細胞を用いて製造したラミニン511-E8とまったく同じポリペプチドを、遺伝子組換えカイコにより発現させることにより生産したものであり、iPS細胞などの培養足場材としてiMatrix-511と同様に使用することが可能。さらに、遺伝子組換えカイコの特徴である高生産性が生かされた結果、iMatrix-511よりも大幅な低価格での販売を実現している。