8月も後半に突入。お盆休みも終わり、お子さんのいるご家庭などでは長かった戦いの時の終わりを感じている頃ではないでしょうか。ですが、お子さんの夏休みの宿題、進捗をご存じでしょうか?

21世紀に突入してしばらく経ちましたが、工作や自由研究は今も多くの学校で課題として使われているようですし、算数ドリルのような具体的な課題と違ってついつい後回しにしがちです。

そこで今回は、以前別の企画で使った3Dペンの再利用……ではなく、月末からでも間に合う工作の題材として、3Dペンを使った「3D写生」をやってみたいと思います!

3Dペンとは

今回の制作に使った3Dペン

3Dペンというのは、少し前に革命的な機械だと話題になっていた「3Dプリンタ」をペン型にしたものと言うと、イメージがつかみやすいかもしれません。より具体的に言えば、ペン先から樹脂(多くはABSやPLA)を熱したものを押し出すことで、絵を描くように立体をかたちづくることができる機械で、筆記具のようにフリーハンドでかたちを作っていけます。

前回は漫画家・コラムニストのカレー沢薫さんの自画像イラストを立体化するのに使いました。今回は、メガネを装着した人に心のときめきを覚える筆者の趣味を勘案して、有名人のメガネを「3D写生」してみることにしました。

最初に所要時間をお伝えすると、純粋に制作に使った時間は約2時間です(記事にするにあたっての写真撮影、原稿執筆を除く)。試作にもう少し時間は使いましたが、以下の手順通りに行っていただければそこは省けるはずです!

1:下絵の作成と下準備

まずは下絵を作ります。題材は何でもいいのですが、今回は広く知られている方を例としたかったので、長いあいだお昼休みの顔を勤めた後、今はブラっとお散歩したりしている「某大物司会者」風のサングラスを作ってみたいと思います!

「某大物司会者」のサングラス(※画像はイメージです)

テーマが「3D写生」なので写真を見ながら手書きで作りましたが、絵を描くのが苦手な方は、正面から撮った写真をトレーシングペーパーなどでなぞってもOKです。原寸大で作りたい場合は、お手持ちの眼鏡やサングラスと幅を合わせるとちょうどいいサイズで作りやすいと思います。

写真を見ながら描いた下絵

試作の様子

普通に絵を描くように作ると当然直線の組み合わせになるのですが、ここはより本物らしくするために、パーツに少しカーブを付けることにしました。もちろん、カーブを付けるのが面倒な方は直線だけでも作れます。

が、色々作ってみた結果「やっぱり!眼鏡は!R(カーブのこと)が!命!」と眼鏡好きの血が騒いでこの方法になりました。眼鏡愛のある方は是非Rを付けて製作していただきたいです。

「R」をつけるために下絵を台にはりつけたところ

曲がったパーツを作りたい場合は、下絵を貼り付ける台を曲げておくと完成品も曲がります。部屋に余っていた段ボールに、同じく余っていたボール紙をガムテープで貼り付けて、適当な製作台を作りました。同じく適当に詰め物をしておくと、手を置いたときに安定するので作業がしやすくなります。

2:パーツを3D写生

最初は外枠から描いていきます。フィラメントの出始めと出し終わりは線の太さが安定しないため、始点と終点を下絵からはみ出すように書くのがきれいな線を描くコツです。失敗したらペリッと下絵からはがして何度でもやり直せるので大丈夫!息を止めて心を静め、ペン先を多少押し付け気味に線を引くといいようです。

満足のいく外枠ができたら、線の中を塗りつぶしていきます。2mmぐらいの円を描くように、なるべく隙間ができないように塗ってください。ペン先でフィラメントを塗り付けるように、少しずつ塗るときれいに仕上がるようです。

両側のツルのパーツも同様に作ったら下絵からペリッとはがし、パーツ同士を接着します。3Dペンで間を埋めて接着してもいいですが、ゼリータイプの接着剤を使うと固まった後も多少動かせるので、装着や収納のときに便利です!

パーツが完成

接着剤でとめた後、マスキングテープで台に固定

3:レンズの部分をつくる

接着剤が固まるまでの時間を使って、レンズを作ります。今回は、晩酌の時に食べた刺身パックのフタを切り出し、裏から手持ちのアクリル絵の具で塗りました。

刺身パックのフタは透明なので、下絵をそのままなぞって切ればOK

材料をあらかじめ用意するなら、スモークグレーなどのスプレーを使って塗ると視界も確保できてサングラスとしても使える…かも、しれません。もちろん、別に刺身のパックではなく、普通のプラバンでもOKです!黒いプラバンを使うと塗る手間も省けます!

4:すべてをひとつに

塗料が乾いたら、レンズをフレームの裏から接着して完成です!原寸大で作った方は、ぜひ装着して撮影してみてくださいね!マイク(無ければ、マイク形の容器のラムネ菓子)と一緒に撮影すると、大物司会者気分になれること間違いナシです。

完成!

フレームが少しうねうねしているのは、3Dペンの先から出る材料の幅が均一なため。例えるなら、塗り絵を色鉛筆でやる感覚に近いです。これを3Dペンの味と取るか、完成度を高めるためにヤスリをかけるかはその人次第ですが、個人的にはヤスリをかけないほうが手作り感が伝わって、宿題向きかなと思います。

3Dペンの本体を除けば、制作費は数十円ほどで出来るので、夏休みの工作はもちろんのこと、3Dペンを持ってはいるけどもてあましている人、とにかく何か作ってみたい人は参考にしてみていただければと思います。

さて、ここで終わっても別に大丈夫らしいのですが、ちょっと興が乗ってきたので、次回はレンズに色のないメガネを「3D写生」してみようと思います。(メガネ愛好家の方は)お楽しみに!