デジタルデータ処理関係のコマーシャルLSIの発表の場としては最高のステータスを持つ「Hot Chips 28」が開幕した。会場は、Apple本社にほど近いDe Anza Collegeの中にあるFlint Center for Performing Artsである。その名の通り、Flint Centerは演劇や音楽会が行われることが多いが、Hot Chips 28のような学会を開催することもできる。
Hot Chips 28の会期は8月21日(日)から8月23日の3日間であるが、初日の8月21日はチュートリアルで、午前は次世代メモリのチュートリアルでHBMを製造しているSamsungやSK Hynix、HBMを使っているXilinxやAMDからの講義が行われる。午後は、3DセンサとAR、VRのチュートリアルである。
8月22日と23日がHot Chips 28の本会議で、最初の「GPUs and HPCs」のセッションでは、ARMのGPU「Bifrost」、NVIDIAのGPU「Pascal」、そしてARM V8-AアーキテクチャのHPC拡張が発表される。最初に興味深いセッションを配置して、朝から出席者を集め、最後にも興味深いセッションを配置して、途中で帰ってしまわないように足止めをするという主催者の作戦である。2番目のセッションはモバイルで、Samsungの独自CPUコア「Exynos-M1」が発表される。
初日の基調講演は、MicrosoftのNick Baker氏がHoloLensに関して講演する。
2日目の最初のセッションは、インタコネクトのセッションで、TSMCの0.3V振幅の低電力インタコネクトやIntelのOmni-PathのスイッチASICが発表される。インタコネクトの消費電力が大きくなっており、省電力化は重要な課題である。
そして2日目の基調講演はGoogleのDaniel Rosenband氏がGoogleの自動運転について講演する。マルチコアのセッションは1000コアのU.C.DavisのKiloCoreが発表される。
Big DataのセッションではMovidius、Oracle、Baiduから発表が行われる。
最後のセッションは、恒例のプロセサのセッションで、今年は、IntelのSkylake、IBMのPOWER9、AMDの次世代x86コアの発表が行われる。
筆者としては、プロセサ関係の発表が減ってきているのは、多少、淋しいところであるが、これも技術の流れでやむを得ないところである。