労働と健康の長い付き合い
我々にとって有史以来、"労働"は生活の大切な一部として根付いてきた。生きていくために必要な生産活動、例えば、それは縄文時代の狩猟もそのひとつであり、現代社会における経済活動(サラリーを収受するための働き)も幅広い意味で言えば変わりはないだろう。
APFBBが報じた運動不足に起因する健康問題と経済損失の相関を調査したトピック。メタボリックシンドロームなど日本でも健康に対する意識改革を促すトピックは多い |
さて、そんな"労働"だが、ここに興味深い報告がある。AFPBBが7月に報道したニュースだが、日常的な運動不足に起因する健康問題によって2013年の世界経済損失は約7兆円に上るとの研究論文が英国医学誌「The Lancet」に掲載された。
論文によれば、この約7兆円という損失額の内訳は、医療費が約5兆6000億円、健康問題によって引き起こされた生産性損失による損失額が約1兆4000億円と大別されている。現代に生きる人々が社会生活を営む上で陥りがちな運動不足は、世界各国でもその広がりをみせ言わば「現代病」となっている。そういった運動不足に起因する経済的損失の推計を行ったのは今回の論文が初めてということだが、なかでも注目なのが座ってばかりの生活スタイルに関連する要因で、毎年500万人が命を落としていることが指摘されたことだ。
世界保健機構(WHO)は、1週間に150分以上の運動を奨励しているが、そこに自分の1週間の生活を当てはめてみてほしい。通勤や商談先への移動なども運動と言えなくもない、そう思うかもしれないが、仮にそういった行為を含めて1週間に150分以上の運動を行っていると断言できる人はどれ程いるだろうか。また、他の研究では1日8時間以上座って活動する人は1日1時間以上の運動を行うことで死亡リスクを軽減することが可能だという報告もある。
だが、1日1時間以上の運動を行う、というのは本稿をご覧の皆さまは「そりゃ無理だ!」とお思いの方も多いのではないだろうか。
実際問題として、「1週間に150分以上の運動」や「1日1時間以上の運動」は、現代日本に生きる我々には、本音で言えば非常にハードルが高い。しかし考えてみて欲しい。一度大病を患うことで被る経済的損失。その甚大な影響を。後で後悔するのではなく、今から予防しておくことで、無用な心配から解放されるという精神的メリットとともに、高いパフォーマンスを維持しながら働ける身体づくりに着手してみてはいかがだろうか。
オフィスでの"気付き"を与えてくれ意識改革を促してくれる「Workcise」
運動不足に起因する健康問題を解消したい。そう意識改革に着手したは良いが、実際になにから手を付けて良いのかわからない。そういった方々に対し、イトーキ(以下、ITOKI)はオフィスシーンにおける「健康増進」「業務効率化」「知的創造」をアシストする様々な提案を行っている。そのひとつが、「健康増進」を促すiOSアプリ「Workcise」だ。
様々な空間造りをサポートするITOKIならではの発想から生まれた「Workcise」。働く人の1日の活動を記録、見える化してより良いワークスタイルや職場環境への改善を促し、結果業務の効率化、能率のアップに繋げようという意欲作 |
この「Workcise」は、オフィスにおけるユーザーの活動を"見える化"してくれるという特徴を持つ。例えば、上司に明日行う取引先でのプレゼンテーションで使用する資料を最終確認してもらう、経費精算のために必要な書類を部長のデスクへ持っていく、といった日常の何気ない行動のログが取得できる。また、デスクワークをしているのか歩いているのか、またはたった状態でいるのかといったユーザーの姿勢の状態も見える化されるという。
そして、計測された数値をアプリ上で閲覧できるのだが、オフィスでの活動計測に特化しているため始業から終業までの時間内で消費カロリーのグラフや、どの時間帯にどのような姿勢であったかなどが一目瞭然となる。筆者は専業のフリーライターであるため、ほとんどの時間で着座状態……これは所々で立ち仕事や文章の展開に詰まった際には、座りっぱなしで考えるのではなく歩いて思考を整理した方が良いかもしれない、などと、行動を改める意識改革のきっかけになってくれた。
ユーザーが仕事中にどのような姿勢でいるかを判断しログを集積。アプリで状態を記録している、という意識付けがあるせいか、「あ、長いこと椅子でまんじりしていたな」「適度に椅子から離れて気分転換しよう」というきっかけになってくれた |
アプリ自体が「着座状態が続いているから姿勢を変えましょう」などのアラート機能は現段階ではないものの、「あ、思っていた以上に動いていないかも」という気付きやワークスタイルにおける生活習慣を改めるきっかけを与えてくれる「Workcise」。運動不足に起因する健康問題の解消はもちろん、職場でのパフォーマンスを最大限に発揮できるよう導入してみてはいかがだろうか。特に筆者同様運動不足を普段から実感できる世代の諸氏には、男女問わずオススメしたいアプリだ。