富士通は8月16日、下水道事業者向けにゲリラ豪雨などによる被害軽減を目的とした下水道氾濫検知ソリューションの販売を開始した。価格は個別見積もり。
新ソリューションでは、水位情報を収集するセンサーを下水道のマンホールに設置し、無線通信で5分ごとの水位情報をクラウド上に収集。水位情報を収集するセンサーには、温度差より得られるエネルギーを電力に変換する熱電変換ユニットから電力を供給する。
熱電交換ユニットは富士通九州ネットワークテクノロジーズが開発し、バッテリーのみでセンサーを駆動する方式と比較すると、電池交換周期が10カ月から5年に延長(富士通研究所が福島県郡山市で実証した結果をもとに試算)できるという。そのため、運用を大幅に効率化できることに加え、電源敷設工事が不要となり、導入コストの抑制が見込めるとしている。
急激な下水道管路内の水位上昇を即座に検知でき、局所的な集中豪雨に伴う氾濫被害の軽減に向けた迅速な対応が可能となるほか、蓄積した水位情報から排水計画の検証や管路更新計画に役立てることができるという。
新ソリューションは、電池交換周期の長期化によるメンテナンスコスト削減の実現や、既設のマンホールから測定カ所を選択でき、きめこまやかな数位情報の収集が可能、下水道管路内の水位情報をリアルタイムに可視化といった特徴を備える。
電池交換周期の長期化によるメンテナンスコスト削減の実現では、マンホール蓋の温度変化から得られるエネルギーを電力に変換する熱電変換ユニットを用い、水位センサーとセンサーノードに電力を供給するため、標準的な利用条件で電池交換のメンテナンスが不要となる。また、熱電変換ユニットは小型化・高効率化を実現することで、国内で初めてマンホール蓋への直接搭載が可能となった。
既設のマンホールから測定箇所を選択でき、きめこまやかな水位情報の収集が可能な点については、水位センサーにより収集される水位情報はマンホール周辺に設置されたゲートウェイを経由してクラウドに転送される。水位センサーは、電源や光ファイバーケーブルの敷設が不要なため既設のマンホールから測定したい箇所を柔軟に選択でき、導入コストの抑制が見込める。さらに、水位情報の測定時間の間隔は、天候や測定箇所の特性に応じて、変更することが可能だという。
下水道管路内の水位情報をリアルタイムに可視化することに関しては、マンホールから下水道管路内の水位情報を定期的にクラウドに収集・蓄積し、水位モニタリング用アプリケーションにて地図上にグラフ表示する。自治体の防災担当者は、Webブラウザからインターネット経由で各マンホールの水位情報を確認し、有事の際は地域住民に対して氾濫情報の通知や被害抑制に向けた事前対応を行うことを可能としている。