地学オリンピック日本委員会および科学技術振興機構(JST)は8月9日、8月20日から27日にかけて、世界中の高校生を対象とした「第10回 国際地学オリンピック」が三重県津市にて開催されることに併せて、都内で今年度のほかの科学オリンピックの状況も含めた説明を行った。
第10回 国際地学オリンピックの開催場所は三重大学および津市周辺となっており、27カ国・地域から102名の高校生が参加する。また、競技内容としては、筆記試験ならびに2つの実技試験となっているほか、熊野地域を対象とした国際協力野外調査(ITFI)や伊賀流忍者博物館の見学なども予定されているという。
2004年より国際科学オリンピックの実施団体の支援などを行い、政府や民間企業と連携して同オリンピックの普及・促進を図ってきたJSTで理数学習推進部長を務める大槻肇氏は、「スポーツにオリンピックがあるように、科学分野にもオリンピックがあり、理系の子供たちにも世界で活躍する場があることを知らせたい」という思いで活動を行ってきたとし、2016年度の概況として、すでに大会を終えている数学では、6名が参加し、金メダル×1、銀メダル×4、銅メダル×1で国別順位で10位の成績となったほか、化学は4名が参加し、金メダル×1、銀メダル×3で国別順位が11位。生物学は4名が参加し、金メダル×1、銀メダル×3で国別順位が5位、そして物理では5名が参加し、金メダル×3、銀メダル×1、銅メダル×1で国別順位6位となったとした。
8月9日時点までに開催された2016年度の国際科学オリンピックの結果。参加生徒の選抜方法としては、おおむね予選→本選→代表選考会といった流れとなるが、その最初の関門となる1次予選の参加者は年々増加の一途をたどっている |
残りの分野のスケジュールは、8月12日より情報がロシアにて、地理が8月16日より中国にて、そして地学が8月20日より日本にてそれぞれ開催される予定となっている。この地学オリンピックには、日本からは4名の代表生徒が参加する予定。代表の1人で、説明会に参加した海城高等学校(東京)3年生の廣木颯太朗君は、「海外の高校生との交流が楽しみ」と抱負を語ってくれたほか、中学生の時から挑戦してきており、今回、念願叶って代表に選ばれたことを踏まえ「これまでサポートしてきてくれた人たちに感謝し、その成果を大会で発揮できればと思っておる。またホスト国として、日本の魅力をアピールしていきたい」と意気込みを語ってくれた。
なお、科学オリンピックの日本開催は、今回の地学以降も、2020年の東京五輪に併せる形で、2018年に情報、2020年に生物学、2021年に化学、2022年に物理、2023年に数学の開催がそれぞれすでに決定している。
2023年まではほぼ毎年のように日本で科学オリンピックが開催されることとなる。大槻氏にその背景を聞いたところ、東京五輪の決定を受けて、各科学オリンピック委員会も招致活動を活発化させた結果、これだけの数の開催に至ったとのことであった |
JSTでも、こうした背景を踏まえ、「日本科学オリンピック委員会(仮称)」の設立に向けた取り組みを進めており、企業協働パートナーの募集や、一般への科学オリンピックへの認知拡大といった体制の構築を進めていくとしている。また、同委員会の設立に向けた準備協議会では現在、8月29日を締め切りとして、公式エンブレムデザインの募集も行っている。応募対象者は中高生で、詳細な募集要項については、準備協議会のWebサイトにて確認することができる。