8月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2016年7月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同月同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では708件/1278億9700万円、商工リサーチの発表では712件/1240億1900万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2016年7月の全国企業倒産の件数は708件で、前月比では5.2%の減少、前年同月比でも7.5%の減少となり、5カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は1278億9700万円で、前月比25.0%の増加、前年同月比でも3.0%の増加となり、7カ月ぶりに前年同月を上回った。7月としては、倒産件数、負債総額ともに2000年以降3番目の低水準となったという。
業種別では、全7業種で前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(22件、前年同月比31.3%減)と建設業(133件、同14.2%減)は前年同月比2ケタの大幅減少となった。また、製造業(102件、同1.0%減)は7カ月連続で、卸売業(110件、同6.8%減)は6カ月連続で、建設業とサービス業(157件、同3.7%減)は2カ月連続の前年同月比減少となった。
地域別では、四国(8件、前年同月比33.3%減)、北海道(23件、同25.8%減)、近畿(159件、同18.9%減)、関東(261件、同13.9%減)と、9地域中4地域で前年同月を下回った。近畿は、公共工事が増加傾向にあるほか、新名神高速道路における発注が進んだことから、建設業(26件、前年同月41件)が5カ月連続で前年同月を下回ったという。
商工リサーチの調査結果
2016年7月の全国企業倒産件数は712件で、前年同月比9.5%減(75件減)だった。5カ月連続で前年同月を下回り、直近からさかのぼると7月度では1991年以降の26年間で最少だった。
その要因として、金融機関が中小企業のリスケ要請などに柔軟に応じていることや、大手企業を中心とした業績拡大による景気の底上げなどがあるとしている。
対する負債総額は1240億1900万円で、前年同月比3.2%増(39億5100万円増)で5カ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、7月度の水準としては、過去20年間で2015年(1200億6800万円)に次いで2番目に少ない金額だった。
負債10億円以上の大型倒産が今年最少の15件にとどまったのに対し、負債1億円未満が515件(構成比72.3%)と全体の7割を占めるなど小規模な倒産が多い状況に変化はないとしている。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、産業で前年同月を上回ったという。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、5地区で前年を下回った。中国は36件(前年同月比9.0%増)、北海道30件(同3.4%増)がいずれも3カ月連続の増加、中部が97件(同3.1%増)で2カ月連続の増加、九州は64件(同10.3%増)で8カ月ぶりに増加に転じ、東北は26件(同13.0%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回ったという。