日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は8月5日、デジタルパターン計測器「NI PXIe-6570」とパターンエディタ「NI Digital Pattern Editor」を発表した。
最新の半導体デバイスのテストでは、従来のATEが対応できる範囲を超える要件に対応しなければならないことが少なくない。半導体業界で確立されたデジタルテストのパラダイムを、「NI半導体テストシステム(STS:Semiconductor Test System)」にも採用されているオープンなPXI(PCI eXtentions for Instrumentation)プラットフォームに取り込んだ同製品では、最先端のPXI計測器を活用し、RFICやアナログICのテストコストを抑えつつ、スループットを高めることが可能となる。
デジタルパターン計測器「NI PXIe-6570」は、無線機器のサプライチェーンやIoT機器で一般的に使われるICで必要とされるテスト機能を低コストで提供する。同製は、独立したソース/キャプチャエンジンにより、100メガベクター/秒の速度でパターンを実行することが可能。また、単一のサブシステム内に、最大256本の同期デジタルピンに対応できる電圧/電流パラメトリック試験の機能を備え、PXIとSTSのオープン性を活かし、必要に応じてPXIe-6570を追加することで、テストに必要なピン数とサイト数に対応することができる。
一方の「Digital Pattern Editor」は、テストのプランを短時間で作成するためのソフトウェアであり、ICのピンマップ、仕様、パターンを編集するためのエディタ機能が搭載されている。また、複数のサイトや複数の計測器に対するパターンのバーストなど、開発から製造へのシームレスな展開を可能にするツールも備えているほか、シュムープロットや対話型ピンビューなどの機能を提供するツールも統合されており、テストをより効率的にデバッグ/最適化することが可能となっている。
テスト向けに構築したシステム(PXIe-6570を含むPXIハードウェアと、Digital Pattern Editor、「NI TestStand」、「NI LabVIEW」などのソフトウェアの組み合わせ)は、実験室での特性評価から製造工場での出荷検査においても使用することができ、データの相関取りの作業負荷が軽減されることから、製品を市場に投入するまでの時間を短縮できる。また、PXIハードウェアは小型であるため、STSの内部に組み込む場合でも外部に配置する場合でも、製造フロアのスペースを節約できる。一方、実験室で特性評価を行う際には、作業台上で壁面コンセントからの電源によって動作させることが可能だ。
NIは「PXI製品のラインアップに新たに追加されたデジタルパターン計測器は、STSにとって不可欠な要素です。この製品により、これまでハイエンドのATEでしか実現できなかったあらゆるデジタル機能を半導体技術者に提供できようになるからです。そうした機能を備えるPXI製品をICの製造ラインに導入すれば、最先端のICの価格とテストに対する要求を満たすことが可能です。それだけでなく、より多くのIC製品のテストに容易に適用範囲を拡大していくことができます。NIのPXI製品は、出荷検査を行う製造ラインと特性評価を行う実験室の両方で自在に利用できます。そのようなことを可能にする類まれなハードウェア/ソフトウェアとして、すでに実績を積み重ねています。NIのデジタルパターン計測器とDigital Pattern Editorは、半導体メーカーやテストハウスによるテストコストの削減と、テストプログラム開発手法の改善を促進する重要なイノベーションです」とコメントしている。