ベリタステクノロジーズは8月3日、世界906社(日本151社)のITプロフェッショナルを対象に実施した調査結果を基に、中堅・中小企業のデータバックアップ&リカバリの最新動向に関する説明会を開催した。
米ベリタス Backup Exec担当マーケティングディレクターのAndy Spencer氏は初めに、データの保管先に関する調査結果を紹介した。これによると、現在は半分以上のデータが物理システムに保管されていることが明らかになったという。すべての地域と比べると、日本は物理システムに保管する傾向が高くなっている。
この結果について、Spencer氏は「物理システムに保管されている割合が高いことに驚いた。仮想化ソリューションのベンダーは『仮想化システムに多くのデータが保管されている』と言っているが、実際は違うようだ」と語った。
将来のデータの保管先を聞いたところ、全体では物理システムが減り、その分クラウドが増えているが、日本だけを見ると、引き続き物理システムが優勢となっている。Spencer氏は、将来を考えても、企業が物理システム、仮想システム、クラウドと異なる環境にデータを保管するという状況は変わらないと指摘した。
また、バックアップデータの保管先については、全体および日本のいずれもオンプレミスが多いが、今後3年先はクラウドが増えるという回答が得られた。日本においては、パブリッククラウドのバックアップが3年間で37%増加するという。
加えて、導入済みのデータ保護製品の数を聞いたところ、全体の平均は4.1種類、日本の平均は2.4種類という結果が出た。Spencer氏は「複数のデータ保護製品を導入しているということは、ライセンス、運用、保守のコストが余分にかかっていることになる」と述べた。こうした状況を解消するには、物理環境、仮想環境、クラウドにおけるデータを統合して管理できるソリューションが有効とした。
同社は、中堅・中小企業向けのバックアップ&リカバリ製品として「Backup Exec」を提供しており、ベリタステクノロジーズ テクノロジー&サービス統括本部 Backup Exec プリンシパル スペシャリスト SEの小川達彦氏より、同製品の開発ロードマップと最新情報が紹介された。
小川氏は、Backup Execの開発においては、アジャイル手法に変更することで、四半期ごとのアップデートを実現していると述べた。アップデートにおいては、「適切なタイミングでのプラットフォーム(マイクロソフト製品とヴイエムウェア製品)のサポート」「サポータビリティ」「顧客の優先課題である信頼性・パフォーマンス・計画の解決」を重視しているという。
8月2日には「Feature Pack 5」がリリースされており、小川氏は、「Feature Pack 5」の新機能として「仮想マシンのインスタント リカバリ」と「S3 プライベート クラウド コネクター」を挙げた。
Feature Pack 5では、VMwareの仮想マシンとマイクロソフトのHyper-Vについて、リストア時に、バックアップデータを用いて仮想マシンを起動してからStorage vMotionとLive Migrationにより仮想マシンをマイグレーションすることで、数分でのリカバリを実現するという。その際、GUIからウィザードによる簡単な操作でリカバリが行える。
また、Backup ExecではAmazon S3 ストレージに対するバックアップをサポートしていたが、S3 プライベート クラウド コネクターを利用することで、Amazon S3互換のプライベートクラウド・ストレージまで対応可能となった。これにより、ユーザーは自身のクラウドストレージ・サーバにバックアップを保存できるようになる。
今年の第4四半期にはメジャーバージョンアップとして「Backup Exec 16」のリリースが計画されている。Backup Exec 16では、マイクロソフトのWindows Server 2016、Microsoft Hyper-V Server 2016、Azure Storageがサポートされる予定だ。