三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は8月4日、太陽熱発電システムの集光・集熱試験設備を同社横浜工場に完成させ、実証試験を開始したと発表した。
同実証試験は、環境省の「平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の委託を受けて2016年度末まで取り組むもの。「集光型太陽熱発電(CSP)」と呼ばれる、集光装置により太陽熱を集めて高温蒸気を生成し、蒸気タービン発電機を用いて発電する方式について検証する。
同発電方式は、太陽光発電に比べ日射量変動時における発電出力の変動が小さく、集めた熱を蓄熱設備で貯蔵して曇天時や夜間でも安定して電力を供給することができるというメリットがある一方で、太陽光発電に比べシステムが複雑で発電設備のコストが高いといった課題がある。
同社では集光・集熱方式として、分割した鏡を平面に配置して傾きを変化させながら集光する低温型フレネル蒸発器と、ヘリオスタットで集光するタワー過熱器を組み合わせた独自のハイブリッド型システムを採用。同システムは、集熱量全体の約7割を低コストの低温型フレネル蒸発器で集め、残りをタワー過熱器で集める仕組みとなっている。
試験設備には、約1万平方メートルの敷地に低温型フレネル蒸発器とタワー過熱器、太陽の動きを追尾しながら鏡で光を反射させて一定方向に送るヘリオスタット150基などが配置されており、発電機を設置すれば、出力300KW相当の発電が可能。試験では、低温型フレネル蒸発器で水を温め300℃近くの蒸気をつくり、それを小型タワー上部に設置した過熱器に送り、さらにヘリオスタット集光で550℃まで過熱することにより、ハイブリッド型集光システムの技術検証を行う。
同ハイブリッド型集光システムに加え、10月には高温蓄熱システムの試験も開始し、夜間における発電の実効性についても探っていくという。