NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は7月29日、星野リゾートの総合予約窓口におけるコンシェルジュ業務について、スタッフが在宅で電話応対業務できる環境を構築し、提供を開始したと発表した。
国内外35カ所に高級温泉旅館やリゾート施設を展開している星野リゾートでは、顧客の宿泊予約や問い合わせの電話を受け付ける「統合予約センター」(コンタクトセンター)を沖縄県に設置している。同センターでは同社の全施設を熟知したスタッフが、館内の設備や料理の内容に至るまで案内を行っている。
そのため、電話応対スタッフは貴重な人材となっており、同社では早くから在宅勤務制度を採用し、出産や育児、介護、パートナーの転勤などの事情で同センターへの出勤が困難になった場合でも、希望すれば在宅でのメール対応業務などを実施する取り組みを進めてきた。しかし、顧客の電話応対については、在宅で実施する手段がなく、スタッフのスキルを活かしきれていないことが課題となっていた。
そこでNTT Comでは、クラウド型PBX(Private Branch eXchangeの略。企業や組織において、内線電話機能の利用や、内線と外線の接続などを行う設備)サービス「Arcstar Smart PBX」と「ナビダイヤル」を組み合わせることで、顧客の問い合わせに在宅で応対できる仕組みを実現した。
特徴として、自宅のパソコンを内線電話化し、オフィスと遜色ない通話環境を実現したほか、クラウド型サービスによる低コストかつスピーディーな導入プロセスが挙げられる。
自宅のパソコンを内線電話化し、オフィスと遜色ない通話環境では、会社で貸与したノートパソコンにArcstar Smart PBXの機能が利用できるソフトフォンをインストールするだけで、コンタクトセンターの電話番号宛にかかってきた電話をソフトフォンで受信でき、在宅勤務を行うスタッフは自宅でヘッドセットなどを装着することで、通話が可能となった。
また、ほかの電話番号への転送や保留といったビジネスホンと同等の機能もパソコンの画面上をクリックするだけで実行できる。なお、Arcstar Smart PBXのソフトフォンと、ほかの内線電話端末との通話は内線通話となり、通話料は無料。
クラウド型サービスによる低コストかつスピーディーな導入プロセスに関しては、星野リゾートは当初、既存のオンプレミス型電話設備の更改によって、在宅勤務でも電話応対ができるシステムの構築を検討していたが、大規模な改修が必要となるため数千万円の工事費に加え、検討や準備を含めて2年程度の期間が必要になると見積もっていた。
Arcstar Smart PBXは、サーバなどの導入が不要なクラウド型であるため初期費用は数万円、導入決定から導入までに約10営業日で在宅勤務環境を構築することができたという。