オムロンは7月27日、生産現場におけるIoT活用や高速高精度オートメーションを実現する「産業用PCプラットフォーム(IPC)」を8月1日に一斉発売すると発表した。

近年、IoTやビッグデータ活用、ロボット技術などを生産現場に導入し、革新的なモノづくりを目指す動きが広がる中、予防保全などのためのデータ収集を目的に、ライセンス管理が煩雑でサポート期間の短いオフィス用PCがPLCと生産現場で接続されている。また、メインコントローラーとしてリアルタイムOSを搭載した専用ボードを内作する、半導体製造装置や工作機械などの設備メーカー各社は、汎用的な制御機能の開発を外部委託し、コア技術の開発にリソースを集中させている。こうした中、生産現場で用いるための耐環境性能と信頼性を有しながら、開発自由度の高いPCアーキテクチャーをベースとする汎用コントローラーへのニーズがグローバルで高まっている。

オムロンが発表した「IPC」は、FA用制御機器に求められる品質基準を満たし、長期的な安定供給を実現した、PCアーキテクチャーベースの制御プラットフォーム。製造業各社の汎用コントローラーに対するニーズを捉えた、4つの「IPC」をラインアップしており、ユーザーは、ボックスタイプとモニタ一体型タイプから、システム構成や用途に合わせて最適な「IPC」を選択することができる。また、世界中の生産ラインや設備で標準採用が進むEtherCATに対応すると共に、これまでPLCでは実現できなかった、各種の機能を自由に作り込める開発環境を提供する。

今回発表された4つのIPCは以下の通り。

・産業用PC
生産現場で求められるFA基準の堅牢性と信頼性を備えたWindows搭載産業用PC。生産現場のデータ収集などで、長期的に安定稼動する。

・産業用PC IPCマシンコントローラ
「マシンオートメーションコントローラNJ/NXシリーズ」によって培われた高速高精度な摺合せ制御とWindows OSによるデータ処理を、独自のハイパーバイザー機能により1つのプラットフォーム上で実現するハイブリッド型PLC。ユーザーは生産現場の情報化対応とILOR+S(インプット、ロジック、アウトプット、ロボット+セーフティ)による高度な摺合せ制御を簡単に実行できる。

・産業用PC IPC RTOSコントローラ
リアルタイムOSを搭載しリアルタイム制御と情報化対応を両立した産業用PC。これまで設備メーカー各社が内作してきた専用ボードコントローラーと同じC/C++言語を用いたプログラミング環境で、オムロンの高速高精度なオートメーション技術を活用できる。

・産業用PC IPC プログラマブル多軸モーションコントローラ
オムロンの米国子会社デルタ タウ データ システムズ社のプログラマブル多軸モーションコントロール技術を導入し、モーション制御とWindows OSによる情報化対応を両立した産業用PC。情報処理などの多様なアプリケーション、ユーザー独自のモーション制御機能(モーションアルゴリズム、キネマティクスなどの軌道計算、位置補正など)を自由に作りこむことができ、超精密位置決め制御を実現する。

今回発表されたIPCの例