新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月26日、NEDOプロジェクトにおいてイクシスリサーチが開発した橋梁点検用ロボットの実証実験を神奈川県川崎市内で行ったと発表した。
橋梁やトンネルなどの社会インフラは、今後建設から50年を経過するものが増加し、それらの老朽化に対応するための資金と専門知識を有する人材の不足が社会問題となっている。NEDOでは、2014年度から「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、橋梁やトンネルなど既存インフラの状態に応じた効果的かつ効率的な維持管理・更新などを図る取り組みとして、インフラ構造物に対して人間の立ち入りが困難な箇所へ移動し、インフラの維持管理に必要な情報を取得するロボットの研究開発を推進してきた。
同プロジェクトにおいてイクシスリサーチは、富士フイルムおよび首都高速道路技術センターと共同で、橋梁点検用のステレオカメラを搭載した橋梁近接目視代替ロボットを開発している。同ロボットは、橋の鋼桁下フランジを移動しながら鋼桁を撮影し、撮影画像を画像処理して近接目視点検および点検調書を作成することができる。
今回の実証実験では、川崎市の協力のもと、同市中原区の上子橋でイクシスリサーチが開発した主桁吊下げ型目視点検ロボットが桁下を移動し、桁の撮影および画像処理を行うことで損傷を検出し、近接目視を主体とする点検の支援が可能かなど実用化に向けた検証を実施した。同実証実験結果については、複数の点検業者から、使い勝手やデータに関する客観的評価なども収集する予定で、これらの結果も踏まえて同ロボットの改良を継続し、早期の実用化を目指す。
NEDOは、同ロボットの活用により、従来の橋梁点検のための高架下への足場の設置や、高所作業車または橋梁点検車の使用に伴うコスト高を削減するとともに、橋上の交通規制を最小限にすることで、橋梁維持管理の効率化が期待できるとしている。