IDC Japanは7月26日、国内のデータセンター(DC)管理者を対象とした調査結果を発表した。これによると、事業者データセンターでは、57%の管理者が今後5年間にDC投資が増加する見込みと回答したのに対し、企業内DCで投資が増加すると回答したのは27%にとどまったという。
企業内DCではIT資産を事業者DCやクラウド環境へマイグレーションする取り組みが加速しており、自社のDCファシリティへの投資を抑制している。一方、事業者DCではこうしたマイグレーションによって企業のITインフラを設置するファシリティが必要となり、DC投資の増加につながっているほか、第3のプラットフォームを利用した新しいデジタル市場の拡大もクラウドサービス需要拡大を加速させており、事業者DC投資の拡大に追い風となっているという。
今回の調査では、DCファシリティ投資や運用に関する取り組みについても調査している。それによると、事業者DCではファシリティ新設/増設の取り組みとともに、既存DCの運用効率化(運用スタッフの削減など)に取り組むケースが多くなっている。
事業者DC間における競争の激化に伴い、DC事業者は新たなDC建設と既存DCの運用改善を同時に実施しなければならないため、難しい課題に直面しているという。IDC Japan ITサービスリサーチマネージャーの伊藤未明氏は「近年増加している大規模DCでは、電力コストが運用コストの大部分を占める。DC事業者はこうした大規模DCの省エネ性能向上に取り組むことによって、コスト競争力を強化することが重要である」と述べている。
なお、今回は国内のデータセンター管理者321人を対象にアンケートを行ったもので、主にデータセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査した。うち、金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンターの管理者は260人、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの管理者は61人だった。