ベリタステクノロジーズは7月21日、ハイブリッドクラウドの現状に関するレポート「ハイブリッドクラウド環境における情報管理の現状」日本語版を発表した。
同レポートは、500名以上の従業員を抱え、75TB以上のデータを管理する世界の企業1849社のIT意思決定者を対象に実施した調査の結果をまとめたもの。調査に参加した国は、アメリカ・カナダ、イギリス、ブラジル、ドイツ、フランス、中国、オーストラリア、日本で、日本企業は188社含まれている。
同レポートによると、パブリッククラウドに「移行が済んでいる」「移行を決定している」企業が最も多かったのは日本で、これに、ブラジル、オーストラリアが続いている。インフォーメーション・アベイラビリティ アーキテクトの星野隆義氏によると、この結果には、SIベンダーのデータセンターにシステムを移行したケースなども含まれており、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといった純粋なパブリッククラウドの利用に限ったものではないという。
星野氏は「日本はシステム導入においてベンダーを頼る企業が多いほか、パブリッククラウド事業者が多いことから、今回のような結果になったのではないか」という見解を示した。
また、ワークロードの6割がクラウド上で動いており、理想としてはワークロードの75%をクラウドに移行したいという意向を企業が持っていることが明らかになった。
同レポートでは、企業が理想とするハイブリッドクラウドを実現するために必要なことを明らかにするため、「パブリッククラウドを利用しない理由」「プライベートクラウドを利用する理由」を聞いている。
「パブリッククラウドを利用しない理由」については、「セキュリティ/データ保護アーキテクチャ」「コスト」「パフォーマンス」「機密データをオンサイトに保管する必要性」が多くの回答を得た。
「プライベートクラウドを利用する理由」については、「低リスク」「パブリッククラウドベンダーのロックインを回避」「機密データをオンサイトに保管する必要性」が多くの回答を得た。
星野氏は、こうした結果から、「ベリタスでは、ハイブリッドクラウドの導入促進にあたって『機密データの扱い』『ベンダー非依存の信頼性』『データ保護』という課題を解決を支援することができる」と語った。
同社は、「機密性」を実現する製品として「Veritas Infoscale」、「ベンダー非依存の信頼性」を実現する製品として「Veritas Resiliency Platform」を、「データ保護」を実現する製品として「Veritas NetBackup」を提供しているという。
「Infoscale」は「Storage Foundation」として提供されていたストレージ管理とクラスタリング機能を備える製品で、ベリタスとして分社した際に「あらゆるクラウドでも動くことを製品コンセプトに加えた」(星野氏)そうだ。
今年5月のリリースから、仮想ボリュームの暗号化がサポートされ、パブリッククラウド環境のストレージにおいても安全にデータが格納できるようになった。
「Resiliency Platform」は災害対策製品で、ストレージや仮想マシンのレプリケーション、アプリケーションのリカバリ/監視などが行える。星野氏は、同製品の今後リリースされる機能を3つ紹介した。
1つ目は、今年8月にリリース予定の「ハイパーバイザーの違いを吸収するData Mover」だ。VMwareとマイクロソフトのハイパーバイザーをまたいだ形でレプリケーションを実現する。2つ目の機能は「AWSのゲストOSへのレプリケーションをサポートするData Mover」で、2017年前半にリリースが予定されている。
3つ目の機能はNetBackupとの連携で、バックアップを応用して災害対策を可能にする。レプリケーションはRPO(Recovery Point Objective)が短いが、その分ストレージや回線が必要となり、コストと手間がかかる。そこで、レプリケーションほどのRPOを求めておらず、かつ、コストをかけたくないが災害対策を行いたい企業に向けて、この機能が役に立つという。