矢野経済研究所は7月19日、国内シェアリングエコノミー市場規模に関する調査を実施し、結果を発表した。
調査期間は2016年4月~6月で、シェアリングエコノミーサービス提供事業者等を対象に、同社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによる取材を行ったほか、文献調査を併用している。
シェアリングエコノミーサービスの市場規模については、乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネのサービス分野別に見た場合、最も市場規模が大きいのは、乗り物のシェアリングエコノミーサービスで、この中ではカーシェアリングが大部分を占めているという。これは、カーシェアリングが国内に登場したのが2002年と古いためだという。
2014年度は、UberやAirbnbなどの海外で先行的に普及したシェアリングエコノミーサービスが日本市場に参入し、その動向が話題となった。また、クラウドソーシング協会およびクラウドファンディング協会が設立され、関連事業者がサービスの情報発信や販促活動に努めた。こうした取り組みもあり、シェアリングエコノミーサービスを試験的に利用する人が増加し、2014年度の国内市場規模は前年度比34.7%増の232億7,500万円(サービス提供事業者売上高ベース)になったという。
2015年度は、旅館業法の特例が施行されたことで民泊市場に参入する事業者が増加。また、モノのシェアリングエコノミーの分野ではファッションシェアリングサービスが次々と開始され、クラウドファンディングの利用も増加しており、同年度の国内市場規模は前年度比22.4%増の285億円であったという。
2016年度は旅館業法施行令が一部緩和された上に、2017年の通常国会に民泊新法が提出予定であることから、それに向けて民泊市場への参入事業者やサービスの利用者がさらに増加していくと同社は見る。また、法規制の壁が特にないオンライン駐車場予約サービスの利用が堅調に増加していくと見込む。
そのほか、2016年1月に設立されたシェアリングエコノミー協会が情報発信や販促活動を本格化していくことで、各分野のシェアリングエコノミーサービスの認知度が向上し、更に利用も増加していくと予測できることから、2016年度は前年度比26.3%増の360億円になると見込んでいる。
今後のシェアリングエコノミーは、2020年の東京オリンピックに向けて増加基調が見込まれるが、訪日外国人客が、民泊、オンライン駐車場予約サービス、ライドシェア、オンラインマッチングサービスなどのサービスを利用していくと予測。シェアリングエコノミー国内市場規模全体の2014年度から2020年度の年平均成長率(CAGR)は17.1%となり、2020年度には600億円に達すると予測している。