京都大学(京大)は7月14日、幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM(Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine)」を開発したと発表した。
同成果は、京大iPS細胞研究所(CiRA) 藤渕航教授、桜井都衣研究員、シャリテ医科大学 Andreas Kurtz教授らの研究グループによるもので、7月13日付けの米国科学誌「Stem Cells Translational Medicine」に掲載された。
幹細胞をはじめとした再生医療の研究が世界的に進められており、研究に使う細胞を保存する細胞バンクは世界に20以上存在している。しかし、収集するデータについて統一されたフォーマットがないために、バンク間での比較が困難なこともあり、保存された細胞が有効に活用されていないという課題があった。これまで細胞データガイドライン(MIACA)は存在していたものの、幹細胞で利用するためには、ヒト細胞種コードと品質管理の項目が不足していた。
細胞の命名法には規格がこれまでなかったため、同名異種細胞や異名同種細胞が存在している状況だったが、今回、同研究グループは、胚葉・分化能・細胞発生時期・解剖学的位置・細胞種の5因子に基づくヒト細胞コードによる細胞種同定方法を開発し、細胞名の曖昧性を排除した。
また、従来のMIACAでは「ヘッダー」「実験モジュール」「データ処理」の3つのモジュールで保存する情報を分類していたが、MIACARMではこれを「プロジェクト」「細胞源」「評価」「実験技術」「データ」の5つのモジュールに再編。また、ヒト細胞コードに関する基準、幹細胞の品質管理に関する基準をはじめとする項目が追加された。
同ガイドラインは、世界各国の主要な幹細胞バンク関係者が参加して開発されたもので、事実上の標準(デファクトスタンダード)となることが期待される。