鍼灸師・若林理砂さんが、あなたの近くにいそうなキャラたちの健康相談に答える「若林理砂のあるあるカルテ」。第一回は、一見するとヘルシーそのもの、リアルが充実していそうなデザイナーさんです 。
本日の患者さんの悩み「鍛えてるのに筋肉が増えない」
男性、30代、空間デザイナー
やせ体質、通勤は自転車を利用(片道40分)、週に1回はジムに通っている。
「継続してトレーニングをしているのに、筋肉が増えないのが悩みです。同世代の男性から食べるものが女々しいと言われたりしますが、健康に気をつけて朝昼晩とちゃんと食べてます。何よりジム推奨のプロテインを飲んで鍛えているのにかえって痩せてきているのが腑に落ちません。体力も増えた感じがしないし、何がいけないんでしょう?」
活動的なデザイナー、彼に足りないものは?
なるほど、初回の患者さん、運動は十分足りているようですね。ジムで勧められたプロテインを飲んでいるのに、なかなか筋肉が増えないし、体力もつかないというご相談ですね。
「もっとトレーニングを増やせばいいのだと思うのだけれど、そんなに時間もないし……」って?いえいえ、これ以上運動は必要ないです。食事内容の問題ですからね。今以上に運動をしたら、おそらくさらに痩せてきますよ?
プロテインがそのまま筋肉にはならない
そう思い込んでる方をちょくちょく見かけるんですが、運動してプロテインさえ飲んでいれば、筋肉が増える……わけじゃないのです。全体的な摂取カロリーが足りていなかったら、痩せていってしまうのです。
「健康的な食生活」をされているとのことですが、ひょっとしたら通常食べていらっしゃる食事内容が、野菜や炭水化物が多めで、油脂やたんぱく質類が少なめになっていたりするのではないですか?
例えばカフェのサラダランチなんかだと、生野菜とパンが中心で、タンパク源が悪くするとベーコンビッツだけ、なんてこともあるじゃないですか。あら、「赤身の肉や油脂は体によくないから、極力減らしている」と。あなたの場合、それでは困りますね。
小食=健康にあらず!
通勤で自転車をお使いだったら、毎日ジムで運動なさっているのと同じとみなして、それなりに食事量を増やさないとなりません。あら、「でも、たくさん食べたら健康に悪いんじゃ?」って?気をつけてくださいね、小食すなわちヘルシー、ではないですよ!
1日一食をはじめ小食が健康法としてもてはやされる傾向がありますが、少なく食べるということは、その小さな枠の中でバランスをとらなければならないので、とても難しいのです。ましてや1日一食しか食べないのなら、その中で一日分の栄養をとれなかったら、その日は取り返しがつかないということになりますよね。
本当に健康的な食事というのは、たんぱく質類・脂質・炭水化物・野菜や果物がバランスよく配合されていて、しかも必要なカロリー量を満たしているものです。
日本医師会のホームページ「健康の森」が大変便利です。一度、ご自分に必要なカロリーを計算してみてくださいね。
食べると苦しいなら、こんな手当も
ふむふむ、「多めに食べると、胃の調子が悪くなる」んですか……。そもそも消化能力が低いのもありますね。ペットボトル温灸を毎日行っていきましょう。肩甲骨の間で、コリがある場所を探して、その部分と中かんにペットボトル温灸を行っていきましょう。1日1回、夜寝る前で構いません。
既に食べ過ぎてしまって胃が重い場合は、豊隆に爪楊枝鍼を行います。爪楊枝を10から15本くらい、輪ゴムで束ねたもので豊隆を軽くトントンたたくようにしてください。これはなんとなくお腹が張るときも使える方法ですから、試してみてくださいね。お大事に!
若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。著書に「養生サバイバル」「安心のペットボトル温灸」など。好きな漫画/アニメは「進撃の巨人」「FSS」「おそ松さん」。一昔前は腐っていました。「どの宮崎アニメにも必ず出演している」顔立ちといわれています。夫はクーロンズ・ゲートの人。TwitterID:@asilliza