夏と冬の年に2回(人によってはもっと多く)、会社のそれとは違う大切な"仕事"に取り組んでいるみなさん、こんにちは。もうすぐ、夏のビッグな締め切りがやってきますね。

進捗、どうですか?

あっ、逃げないで!……ほら、こわくない、こわくない。

会社の仕事や学業などの合間を縫って、"仕事"を進めているものとお察しします。時間もないことですし、ここではわたくし、鍼灸師の若林理砂が「創作で体調を崩さない」ための要点をサクッとお伝えしますね。

イラスト : まるはま

1:カフェイン摂取を控える

コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料は創作の友ですが、ガブ飲みは禁物。一日のカフェイン摂取量の上限が400㎎。コーヒー100mlあたり60㎎のカフェインが含まれるので、200mlのカップなら3杯ちょっとで上限に達します。

念のためですが、錠剤でカフェインを摂取するのは絶対やめましょう!たった1錠で摂取上限を大幅にオーバーしてしまいますよ。

また、夏だから特に気をつけたいのは、カフェイン飲料には利尿作用があること。脱水症状になる前に水やノンカフェイン飲料で水分はきちんととりつつ、カフェイン飲料はリフレッシュに活用してくださいね。

2:エナジーはエナジードリンク以外で摂る

エナジードリンクの写メに「元気注入~!」というようなコメントを添えている人。SNS上で散見しますが、残念ながらあの手の飲料で元気は注入できないのですよ。あれは飲めば力が湧いてくるイメージを売っているものなのでね。

実際、中身はカフェインなど興奮作用のある成分と砂糖ですから、一時的にハイになってもその後だるくなり、作業どころじゃなくなる恐れがありますよ。恐ろしいことにエナジードリンクを食事がわりにしている方も見かけたのですが、これは栄養失調を招きかねません。

1日3回の食事で、炭水化物、タンパク質、野菜類を含むメニューを毎回食べることを心がけてください。多忙な時はコンビニで買える「修羅場食」リストも参考にしてみてくださいね。「エナジーはエナジードリンク以外でとる」、心の隅に留めておいてください。

3:寝る

身もふたもないし夢もないですが、寝ないと疲労は回復しません。この中に機械の体をお持ちの方はいらっしゃらないと思いますから、まずは徹夜ナシで実現できる「締め切り」の設定から始めましょう。0時以前に就寝し、少し早起きをして朝に作業するのが理想的です。

……とはいえ、予定通りネタが出るとも限らないのはよく分かります。が、連日の睡眠不足は確実に体にダメージが蓄積していきます。できる限り、早寝早起きが鉄則です。朝がつらい人ほど、一度思い切って0時前に寝てみると、HPが回復しているのを実感できるはずです。

それでもどうしても徹夜しないと本が出ない…!という状況になってしまった方。1日限りの徹夜だったら、そのままいつも通りに過ごし、夜(というか日没後)にすぐ寝るようにした方が得策です。こうすることで体内時計が狂わずに済み、徹夜の疲れを数日引っ張る……なんてことが起こらなくなります。

生きがいを亡くさないために

夏と冬の大切な"仕事"、これこそが生きがい、これぞ人生と感じている方も多いかと思います。ついつい無理をしてしまうクリエイターが多いこと、私も日々の診療を通じてよく知っています。

でも、創ることが生きがいそれならば尚のこと、「体をいじめる」のをやめてみませんか?気力だけで全力疾走していると、いつかガス欠で倒れる日が来てしまいます。壊れた体では創ることはおろか、生きることもままなりません。

何より、この”仕事”は締め切りで終わるのではなく、当日元気に出席し、自分の作品を求める人の顔を見てはじめて成り立つのではないでしょうか。上記のポイントを気にするだけでも、ぐっと体が楽になるかと思います。画期的な健康情報はひとつもないので物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、結局、この世に存在する回復魔法は食事や睡眠など、日々の当たり前の営みなんですよ。

では。みなさんが健康に"仕事"に取り組めますよう!養生してくださいね!

若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。著書に「養生サバイバル」「安心のペットボトル温灸」など。好きな漫画/アニメは「進撃の巨人」「FSS」「おそ松さん」。一昔前は腐っていました。「どの宮崎アニメにも必ず出演している」顔立ちといわれています。夫はクーロンズ・ゲートの人。TwitterID:@asilliza