STマイクロエレクトロニクス(ST)は7月13日、低消費電力マイコン「STM32L4シリーズ」向けの新しい開発エコシステムと、同シリーズの新製品ラインを発表した。
新しい開発エコシステムは、超低消費電力設計に適した電力シミュレーション機能を搭載した初期設定ツール「STM32CubeMX(コード・ジェネレータ、コンフィギュレータ)」と、ミドルウェア・コンポーネント、Nucleo-32ボード・サポート・パッケージ(BSP)、ハードウェア抽象化レイヤ(HAL)、およびロー・レイヤ・アプリケーション・プログラム・インタフェース(LLAPI)を含むSTM32CubeL4パッケージで構成される。また、NUCLEO-L432KCは、小型パッケージ(QFN/32ピン)で提供されるマイコンを搭載した初のNucleo-32ボードで、STM32L432KCU6マイコンを搭載し、ARM mbedオンライン・ツールに直接アクセスできるため、新規プロジェクトを迅速に開始することができる。Arduino Nanoに対応したピン配置によって機能拡張が簡略化され、同ボード上に搭載されているST-LINKデバッガ/プログラマがマス・ストレージをサポートすると共に、個別プローブ不要のデバッグを可能とする。
一方、今回発表された新製品ライン(STM32L43x、STM32L44x)は、内蔵USBコントローラ、LCDコントローラ、およびセキュリティ暗号化機能など、さまざまな機能を組み合わせた多様な製品ラインアップで構成され、最大80MHzで動作するARM Cortex-M4Fを搭載しながら、最大256KBと比較的小容量のFlashメモリと、少ピン・パッケージの選択肢があるため、コスト重視のアプリケーションに適しているとする。また、真乱数発生器(True Random-Number Generator:TRNG)を含む強力なデジタル・ペリフェラルや、12bit ADコンバータ(5Msps)、内部電圧リファレンス、超低消費電力コンパレータなどのスマートなアナログ機能も内蔵している。
すべての製品が、アナログ・ペリフェラル、USB回路、および入出力ポートへの独立した電力供給を行う個別電源電圧領域などの特徴を持つFlexPowerControl(FPC)を含む、STの革新的な低消費電力技術を活用しているほか、Batch-Acquisition Mode(BAM)が電力効率の高いデータ取り込みを可能にし、サブモードを含む7種類の低消費電力モードによって、さまざまな動作条件下で消費電力を最小化することができる。
STM32L4シリーズの新製品ラインは、WLCSP(3.14x3.13mm)をはじめ、QFN-32(5x5mm)およびLQFP-100(14x14mm)などの小型パッケージを含む幅広いパッケージ・ラインアップで提供される。STM32L431KBU6(QFN-32パッケージ、Flashメモリ:128KB、SRAM:64KB)の参考サンプル価格は、約2.045ドルとなっている。