日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は7月13日、ベクトル信号トランシーバ(VST)の第2世代品として「NI PXIe-5840」を発表した。

同製品は、PXI Express Gen3に対応し、前世代の3スロットから2スロットモジュール筐体へと設置面積の33%削減を実現しつつ、周波数帯が9kHz~6.5GHzのベクトル信号発生器とXilinxのハイエンドFPGA「Virtex UltraScale+」、高速シリアル/パラレルインタフェースを組み込んでおり、従来品比で5倍となる1GHzの瞬時帯域幅を実現している。

「NI PXIe-5840」の概要

これらにより、例えばFPGAに搭載されるDSPスライスの数は前世代(Virtex-6)比で4.7倍に増加し、ユーザーによるカスタマイズの柔軟性が増したほか、同システムを活用することで、IEEE 802.11acで求められる-50dBmのEVM(エラーベクトル振幅)性能を測定できるだけの確度を得ることが可能になったり、シャーシ1台で最大8×8 MIMOの構成を実現できるようになるとしている。

「NI PXIe-5840」では、前世代品の機能に加えて高速シリアルも統合。また、性能も向上したことで、1024-QAMのOFDM伝送への対応なども可能になるという

同社では、「スマートデバイスは、継続したソフトウェアのアップデートによる機能向上など、産業機器に近い取り組みなどが必要になってくる。しかし、それぞれの課題が異なるし、構築するテストシステムも異なる。そのため、カスタマイズ性が重要になってくるが、個々別々のニーズにマッチするテストシステムを常にタイムリーに提供することは不可能と言える。NIはプラットフォームベースとすることで、カスタマが必要なシステムの構築を支援するスタンスであり、ここに開発者やパートナー、IPなどといったエコシステムを組み合わせて、自由な発想でシステムを構築することができる」とコメント。競合他社もPXIモジュールへの参入をするなど、プラットフォーム化を図る動きもあるが、エコシステムなどの付加価値の面で自社に優位性があることを強調している。

スマートデバイスでは個々別々のテストニーズがあり、プラットフォームをベースに構築したエコシステムを活用することで、そうしたカスタマのニーズに柔軟に対応できるというのがNIの強みだという

なお同製品の対象アプリケーションは、車載レーダー、ワイヤレスデバイステスト、半導体テストを中心に、スペクトルモニタリング、ソフトウェア無線、IoTデバイステストなど幅広い分野としている。