安藤ハザマは7月11日、地盤改良や杭工事の施工情報の可視化による出来形・品質の確保と帳簿作成などのデータ管理を省力化することを目的に「3Dパイルビューアー」を開発したと発表した。
地盤改良や杭工事では、品質の確保に加えて出来形の計測が重要となるが、いずれも地中の目に見えない箇所で行われるため、施工状況を目視で確認、評価できず、改良体の出来形の把握や支持層の変化に応じた補正をリアルタイムに行うことが困難だった。また、従来の施工管理では、オシログラフの波形や材料使用量などの膨大な数値データの中から、必要なデータを抽出して効率的に評価したり、日報作成のためにデータを入出力したりすることに多大な労力を要し、工事担当者の負担となっていた。
3DパイルビューアーではGNSS、トータルステーション、傾斜計を利用した杭位置誘導機能により、キャビン用モニタの表示に従い杭先端を計画杭芯位置に正確に誘導し、目杭のずれやオペレータの誤認識による施工ミスを削減する。
また、杭先端の軌跡、電流値、スラリー量、回転数などをリアルタイムにクラウドに集積し、施工状況を3次元で可視化。専用モニタに、地中での杭・改良体の形状が3次元で表示する。これにより、杭の状態を未施工、施工中、施工後の区分で識別するとともに、進捗状況や地盤抵抗値などを色の変化により直感的に認識できるため、速やかな情報共有が可能になる。可視化した情報は、登録ユーザーであれば、インターネットを通じてどこでも確認でき、管理値を越えた場合などは、即時に関係者に通知して異常を把握し、施工上のリスクを低減する。
深度や電流値などの施工情報は、さまざまなデータ形式に対応しており、深層混合処理工法や締固め杭工法、中堀式等の既製杭など、既存の工法に幅広く適用可能。さらに、削孔時の地盤抵抗値と土質に応じた換算係数から、地盤のN値や強度をリアルタイムに確認し、設計との差異を早期に確認することができる。施工全数で地盤情報を評価できるため、限られた地盤調査結果から設定した条件の妥当性や、次に施工する隣接工区へのフィードバックを効率的に行い、改良深さ、施工速度、施工順序、管理値など施工仕様の見直しや追加対策の必要性の有無を迅速に判断することが可能となる。
データ管理の省力化という観点では、日報やデータ分析に必要な出力項目と書式を自由に設定し、終業時にワンクリックで日報を作成できるほか、施工済みの大量の改良体や杭の情報を任意のグループに分けて管理したり、改良長、改良強度、施工日ごとの情報を引き出して確認することができる。各種データはCSV形式で出力することも可能だ。
現在は既製杭工事への適用を進めており、今後も、総合評価方式の技術提案や同社の施工工事に積極的に採用するとともに、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録も予定している。