凸版印刷は、中太ゴシックの「凸版文久ゴシック DB」と、見出し用ゴシックの「凸版文久見出しゴシック EB」の2書体を、モリサワにライセンス提供すると発表した。同書体は、2016年9月にモリサワからDTP用のフォント製品として発売されるほか、Webフォントサービスでも提供される予定となっている。

「凸版文久ゴシック DB」

「凸版文久見出しゴシック EB」

「凸版文久体」は、1956年に「築地体」を源流として誕生した凸版印刷のオリジナル書体を改刻し、電子媒体にも対応したもの。2013年より開発・提供されており、書体設計師・書体史研究家の小宮山博史と、ブックデザイナーの祖父江慎が監修している。なお、6月29日~7月1日に東京ビッグサイトにて開催される「コンテンツ東京 2016」のモリサワブースにおいて、「凸版文久体」が紹介されるということだ。

「凸版文久ゴシック DB」の特長

「凸版文久見出しゴシック EB」の特長

今回「凸版文久体」ファミリーに加わる「凸版文久ゴシック DB」は、2015年2月より提供している「凸版文久ゴシック R」と同じ骨格の文字を太くした書体で、横書きでの自然な筆の運びを意識し、読むリズムを演出する抑揚のあるデザインが特長のゴシック体。特に日本語の文章で使用頻度が高い仮名は、筆の入りのでっぱりが明朝体と同じように左についており、自然で読みやすい文字の流れを実現しているという。

また、「凸版文久ゴシック EB」は、2015年5月より提供している「凸版文久見出し明朝 EB」と対をなす、もうひとつの見出し用書体。太くしっかりとした線画でありながらも角張らない設計で、読み手の目線を引きつけるデザインが特長のゴシック体となっている。見出し用として大きいサイズでの利用に最適な骨格を設計するため、本文用の「凸版文久ゴシック」とは骨格が変えられている。また、筆の運びを感じさせるハネや、なめらかな曲げを設計することにより、やさしさが演出されているということだ。

販売方法は、モリサワのフォント製品「MORISAWA PASSPORT」、「MORISAWA PASSPORT ONE」、「MORISAWA PASSPORT アカデミック版」、「MORISAWA Font Select Pack 1/3/5」として販売するほか、モリサワのクラウドフォントサービス「TypeSquare」でも提供されるということだ。

監修者で書体設計師・書体史研究家の小宮山博史は、同書体について次のようにコメントしている。「凸版文久体は将来の印刷・表示用書体の方向性を見据えた"次世代を支える書体"として開発されました。戦前から受け継いできた本文書体を現代に合うように明るく平明に磨き上げ、新刻書体と組み 合わせたこのプロジェクトは、書体作りが新しい時代に入ったことをシンボリックに示した存在といえるのではないでしょうか」

また、監修者のブックデザイナー・祖父江慎は「伝統的書体のなかでは最も現代的で、UDフォントの先駆けともいえる凸版書体は、金属活字よりも写植の風合いを持った書体でした。やさしくうるおいある表情で光を感じさせるその特徴を、現代フォント事情を斬新に切り拓く書体として新たに誕生させたいと考え、一歩先を見つめながら監修したのが凸版文久体です。」とコメントしている。