ウィンマジックは、暗号化に対応するインテリジェントな鍵管理機能を備えたデータセキュリティソリューションを提供する企業だ。エンドポイントセキュリティ分野が中心だったが、昨年からはクラウドセキュリティ領域にも進出し、2016年5月にはIaaS(Infrastructure as a Service)上で稼働する仮想マシンを暗号化するセキュリティソフトウェア「SecureDoc CloudVM」の提供を開始した。今回、新製品の提供開始にあわせて来日した米国本社WinMagicのVP Business DevelopmentであるJames LaPalme氏にクラウドセキュリティについて話を聞く機会をいただいたので、その様子をお届けする。
――まず、JamesさんとWinMagicについて教えてください
私はVP Business Developmentという役職で、クラウドソリューション開発とチャネル管理を担当しています。また、サイバーセキュリティの経験は約25年、クラウド製品についても約17年ほど携わっています。
WinMagicは、エンドポイントセキュリティ製品を中心に提供する企業です。昨年からは、クラウドセキュリティ分野にも進出し、「SecureDoc CloudSync」「SecureDoc CloudVM」といったクラウド向け製品の提供も開始しました。
――なぜ、エンドポイントセキュリティからIaaSのセキュリティ分野に参入したのでしょうか
ここ数年、物理的な環境から、クラウド環境へ移行する企業が増えています。これに伴って顧客企業から「クラウド環境のセキュリティ対策を行いたいという声が挙がっていました。我々としても、やはりクラウドが急速に普及しているので、無視できない分野だったことが理由です。
2016年5月にIaaS向け仮想マシン暗号化ソリューション「SecureDoc CloudVM」をリリースしました。対象となるのは、プライベートクラウド、パブリッククラウドの両方で、現在6つのクラウド環境(VMware、Microsoft Azure、AWS、Microsoft Hyper-V、Citrix)に対応しています。
強みは、暗号化に関する分野をすべてカバーできる点です。また、どの部分がどのように暗号化されているかを一目瞭然で把握できるインテリジェンスな鍵管理が行えます。エンドポイント、ファイルサーバ、仮想サーバ、企業内ファイルの同期/共有(EFSS)ソリューション、IoT(Internet of Things)のインスタンスなど、幅広いレイヤにわたるカギ管理システムを制御することで、仮想環境での可視性を高め、データセキュリティを強化します。
さらに、仮想化されたワークロードに対する独自のカギ管理とポリシー管理によって、複数の暗号化レイヤの保護と関連カギや証明書の管理に関わる問題を軽減できます。ですから、暗号化がされているあらゆる環境をカバーし、共通の鍵管理をしていくというのが、他には無いアプローチだと考えています。
AWSは顧客に対して、クラウド「自体」のセキュリティにはAWSが責任を持つが、データなどの「中」に関しては、顧客自身で責任を持ってくださいと説明しています。そのため、我々は顧客が管理する必要があるデータ部分をセキュアにできる製品を訴求する必要がありました。競合もセキュリティソリューションを展開していますが、こうした分野でトップ3に入るような製品を目指しています。
――今後の日本市場における展望を教えてください
日本がクラウド市場に関してそれほど遅れているとは思いません。理由としては、AWS、Microsoft Azure、NTTデータなど素晴らしいクラウドサービスやベンダーが浸透してきていることがあります。今の日本のクラウド採用率は、北米や欧州と同程度と考えています。しかし、10年後を考えると90%の企業がインフラソリューションとしてクラウドを選択するのではないでしょうか。
クラウドが普及していく中で考えるセキュリティの今後としては、単独の業界ではなく、横断的に水平でいろいろな業種をカバーできるものが必要だと思っています。例えば、Dockerなどのコンテナに関するセキュリティにも興味があります。そうしたITの進化に対応を目指して、さまざまなベンダーと協力してさらなる展開や施策の推進を図っていくつもりですので、期待して待っていてもらいたいですね
――ありがとうございました