産業技術総合研究所(産総研)は6月27日、1000℃付近の高温域で高精度に温度測定ができる白金抵抗温度計を開発したと発表した。

同成果は、産総研 物理計測標準研究部門 温度標準研究グループ ウィディアトモ・ジャヌアリウス主任研究員、チノーらによる研究グループによるもので、6月26日~7月1日(現地時間)にポーランドにおいて開催される国際学会「TEMPMEKO 2016」で発表される。

シリコンウェハや金属などといった各種材料の熱処理に用いられる1000℃付近の高温域では、白金抵抗温度計のセンサー部に生じる熱ひずみなどにより、測定値が変動するため、高温域での信頼性の高い高精度な温度測定は、これまで困難となっていた。

今回、同研究グループは、市販されている従来型の白金抵抗温度計を複数本用意し、適度な熱処理を行った後、国家標準の「水の三重点装置」と「銀の凝固点装置」に繰り返し出し入れして、白金抵抗温度計の抵抗値を測定する試験を行い、各温度における抵抗値の変化を調べた。この結果、センサーの作製過程で適度な熱処理を行うことで、1000℃付近の高温域でも抵抗値が安定することを見出した。

さらに、高温で白金線に生じる熱ひずみを低減できるセンサー構造を新たに考案したことで、高温域でも、0.001℃レベルの精度で温度測定できる新たな白金抵抗温度計を開発した。

同研究グループは今後、材料プロセスなど高温域での高精度な温度測定・温度制御の実現に貢献できると説明している。

白金抵抗温度計の外観(左)と先端のセンサー部(右)