OKIは6月16日、同社の流通業向けソリューションを紹介する特別展示会「OKI ソリューションフェア in 北海道 2016」開催した。流通業界にフォーカスしたソリューションフェアは同社としては初めてだという。そこで、OKI 北海道支社長 桑原氏にこのフェアの狙いと同支社の戦略を聞いた。
今後は運輸・流通領域を拡大
「北海道は広すぎます」
北海道支社(札幌市)の現在の課題はという質問に、4月1日付でOKI 北海道支社 支社長に就任した桑原邦佳氏は笑いながらこう回答した。同氏は今年の3月まで東北支社(仙台市)の営業部長を務めていた。面積的には東北支社のほうがカバーエリアは広いが、すべての県に仙台から新幹線で移動できる東北に比べると、北海道のほうが交通網の整備が遅れており、移動時間がかかるという意味だ。
北海道支社の総勢は25名。OKIには道内にほかの拠点(保守は除く)はなく、北海道支社が道内全域をカバーする。冒頭の回答にはそういった背景もある。同支社の主な顧客層は官公庁、金融機関、運輸・流通業だ。
桑原氏によれば、北海道支社のこれら3領域の売り上げ比率は、官公庁:6、金融機関:2.5、運輸・流通:1.5という割合だという。
官公庁(自治体)向けには、消防指令システムや防災システムのほかプリンタ、ETC/VICSなど、金融機関向けにはATMや金融営業店システム。そして運輸・流通向けには、発券システムや現金処理システムなどを提供する。
同氏は北海道の特徴を、「流通業において全国的に有名な企業が多く、流通業が発展している地域だと感じます。また、札幌に転勤の人が多いからかもしれませんが、地元以外の企業でも受け入れてくれる柔軟性を持っていると感じます。北海道の訪日客は、ほぼ2倍(2014年から2年間で)に伸びていますので、市場としても拡大しているといえます」と、今後も伸び代の大きな市場だと指摘する。
そして、同氏が今後注力していく分野として挙げたのが運輸・流通分野だ。現在は前述した3領域の売上げ比率の中でもっとも低い分野だが、桑原氏は2020年までにこの領域の売上げを2倍にしたいと意気込む。
そのための1つの施策が、6月16日に札幌で開催したのが特別展示会「OKI ソリューションフェア in 北海道 2016」だ。同フェアには、道内から多くの代理店(特約店)を招き、同社が保有する製品や技術の中から、流通業向けソリューションを中心にデモンストレーションを交えて紹介した。
桑原氏は、「OKIは電話機から始まっている企業なので、特約店の方の通信に関する知識も豊富で、その地域をお任せできますが、通信分野を離れると、展開が難しい面があります。今回、初めて流通業向けの展示会『OKI ソリューションフェア』を北海道で開催しましたが、これには特約店の方に通信以外の分野の知識を身につけていただき、より多くの商品を扱ってもらいたいという思いがあります。25名だけで道内全域をカバーするのは厳しいので、代理店の方にも手伝っていただきたいと思っています」と、フェアの狙いを説明する。
そして流通系で、とくに販売を強化したい商品として桑原氏が挙げたのが「つり銭機」だ。
「流通系のお客様には、プリンタなどはこれまでも販売してきましたが、本社ではつり銭機の売上げも大きいので、道内でもPOSレジ向けつり銭機の売上げを伸ばしていきたいと思います」(桑原氏)
つり銭機は、台数を多く販売できるため、売上げへの貢献も大きいのだという。
桑原氏はOKIのつり銭機の強みとして、全国規模での実績と現金系のノウハウを挙げた。同社のつり銭機は顧客自身が手入れができるため、障害が少ないのだという。これには、国内トップシェアのATMでの実績が背景にあるようだ。
「メカトロ系は技術の蓄積なので、他社がなかなか入ってこれない部分だと思います。今後は、この技術力の高さを武器にしていきたいと思います」(桑原氏)
また、訪日外国人が増加傾向にある点を踏まえ、インバウンド向けソリューションも積極的に販売していくという。
ソリューションフェアでは、免税手続きに必要な購入者記録表と購入者誓約書を出力する免税書類の自働作成ソリューションを紹介していた。こちらは商品化を検討している段階で、販売等は未定だが、桑原氏は「免税のソリューションは、まだまだ売れると思います」と語る。
フェアでは、これ以外にもインバウンド向けソリューションを参考出展で紹介していた。
北海道経済部観光局が今年の3月に発表した、平成27年4月から6月までの訪日外国人来道者数は、前年同期と比較して51.1%の増加となっている。この背景には、国際定期便の新規就航や増便、免税制度の拡充、査証要件の緩和や円安基調の継続などがあるという。
こうした観光客増加という好材料が、同社の運輸・流通分野の売上げ拡大の追い風になりそうだ。