稲盛財団は、今年の京都賞を、ロボット工学の先駆的研究者である金出武雄(かなで たけお)米カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授、分子免疫学の世界的第一人者で文化勲章受章者の本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学名誉教授ら3人に贈ることを決めた。

左から、金出 武雄 氏、本庶佑 氏、マーサ・クレイヴン・ヌスバウム 氏 〈稲盛財団提供〉

同財団が、科学や文明の発展などに貢献した人に贈る京都賞は今年で32回目。記者会見が17日、京都市内で行われ、3人の名前が発表された。会見には本庶氏や同財団の理事長を務める稲盛和夫(いなもり かずお)京セラ名誉会長らも出席した。

金出氏は「先端技術部門」の受賞で「コンピュータビジョンとロボティクス分野での先駆的かつ実践的研究」が受賞理由。コンピューターによる画像認識研究を先導し、自動車の自動運転などロボティクス分野の革新的技術を次々と創出した、と評価された。

本庶氏は「基礎科学部門」の受賞。分子免疫学の分野で多くの業績を残したが、今回の受賞理由は「抗体の機能性獲得機構の解明ならびに免疫細胞制御分子の発見と医療への展開」。免疫細胞のT細胞の表面にあるタンパク質「PD-1」を発見して新しいがん免疫療法に道を開いた、と評価された。本庶氏は13年に文化勲章を受章している。

また「思想・芸術部門」には、米国の哲学者のマーサ・クレイヴン・ヌスバウム米シカゴ大学エルンスト・フロインド法学・倫理学特別功労教授が選ばれた。受賞理由は「ケイパビリティ・アプローチによる正義論の深化とその実践」。社会的弱者の視点から独自の「正義論」を提唱した、と評価された。

授賞式は11月10日、京都市の国立京都国際会館で開く。3氏にそれぞれ賞金5千万円とメダルが贈られる。

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