学びの現場にもICTを。Googleが提供するGoogle Apps for Education/Classroomについて製品担当責任者が語る
Googleが提供しているサービスやそれらサービスの導入・活用事例を公開するイベント、Google Atmosphere Tokyo 2016が6月14日、15日に開催された。前回に続き本稿では、『教育現場のICT活用のためのGoogle Apps for Education』と題して行われたセッションについて紹介していこう。
登壇したGoogle Inc. Google for Education製品担当責任者を務めるジョナサン・ロッチェル氏は、2014年に発表されたGoogle Classroomのアクティブユーザーが順調に推移していることに触れるとともに、今教育の現場においてもChromebookは目覚ましい勢いでシェアを拡大していると語った。また、Google Classroomの最大の特徴はシンプルであることと述べ、利用する教師たちは10~15分使えば各種機能を理解できるという。クラスに在籍する生徒のリストや宿題のワークフロー、生徒とのコミュニケーションなど基本的な機能が提供されており、特に宿題のワークフローでは教師がたったワンクリックで、30人であろうが1,000人であろうが宿題を課すことが可能という手軽さを強調。手軽でありながら、宿題への回答を生徒個別に返す、一括で返すなどのフレキシビリティも備えているのが特徴だ。
教育者でGoogleドライブを利用していた人々にとって、データの整理は非常に大きな問題だった。紙資料と同じように自分で取捨選択し整理する。検索機能はその手助けにはなったが、根本的な問題解決には至らなかったとロッチェル氏。しかし、Google Classroomの登場により、自動的にデータを整理することが可能となったと語る。担当しているクラスのフォルダ、それぞれの課題のフォルダなどが自動で作成され整理され利便性が向上し、時間の節約に寄与していると述べ、節約された時間を児童への教育に費やすことが可能となった。
また、調査会社と共同で財界はどういったスキルを持つ人材を求めているか、という調査を行った結果、「問題解決能力」「チームワーク」「コミュニケーション能力」を求めているという結果となったという。だが、これらの能力は通り一遍の教育ではなく、アクティブ・ラーニングに代表されるような能動的な学習が肝要となってくる。
"検索"という行為自体が能動的な学習の基本とも言える。Googleは検索でもそれらに貢献してきたと言えるかもしれない。生徒が問題を考察するにあたり、様々な端末から世界中のあらゆる情報へのアクセスを可能としているのだから。
デジタルネイティブならではの学習スタイル。能動的な学びのサポートにGoogle Apps for Education/Classroomを活用
続いて登壇したのは、実際にGoogle Apps for Education/Classroomを導入している鎌倉学園中学校・高等学校で理科教師として主に物理の授業を受け持つ小林勇輔氏だ。
3年計画で校舎のリニューアルに取り組んでいる鎌倉学園。Wi-Fi環境の整備のほか、各教室にプロジェクターを設置、教員すべてにメールアドレスを付与するなどの一環として導入され、教師同士での情報・ドキュメントの共有はもちろん、各担任が撮影した写真を生徒全員と共有する、あるいは保護者との共有を行うなど、様々なシチュエーションでの活用に利便性を感じていると小林氏。また、Classroomの機能を用いて生徒とのコミュニケーションや課題提出、コミュニケーションの一例を実際に小林氏が使用している環境下で実演してくれた。
実際に利用しているGoogle Classroomの画面を表示して解説してくださった小林氏 |
動画を見ながら各々が学ぶという授業スタイル。小林氏は板書等を行わなくなったため、より生徒に近い位置で生徒が今どういう状況なのかを知れるようになったという |
小林氏の授業スタイルは、いわゆる板書をし、生徒全体に一斉授業で教えていくという旧来的なものではなく、能動的に生徒たちが自分に必要なものを学習していくというもの。教科書を読む者、タブレットで関連動画を見ながら物理の問題に対して理解を深める者など、個性的な授業展開ではあるが、手応えは感じているという。教育の分野においても様々なイノベーションをもたらしているGoogle。これからどのような変革を巻き起こしてくれるのか、興味は尽きない。