日本の電子産業、とりわけ家電メーカーの弱体化が止まらない。「デジタル化が進む現在における日本の電子産業には4つの弱みがある」と語るのはMouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)のExective Adviserである横伸二氏だ。
同社は、日本市場の2015年の売上高が前年比で16.5%増と高い成長を示したことを受ける形で、今後も継続的に高い成長率を維持することを目的として、2016年第3四半期をめどに本格的に日本法人の立ち上げを行うことを明らかにした。
これまで日本地域については、他の地域同様、オフィスはカスタマサービス・ディレクターの下に、マーケティングはマーケティング・ディレクターの下にそれぞれ位置付けられていたが、今回、新たに組織される日本法人では、そうしたディレクターと同様、同社のAPACおよびEMEA業務担当シニアバイスプレジデントであるMark Burr-Lonnon氏の直下組織という位置づけが与えられ、その下にカスタマサポートチームとマーケティングチームが組み入れられることとなる。
このような組織体制は同社の中でも特殊で、Burr-Lonnon氏は「日本という地域が独特の文化を有しており、そうした文化に合わせようと思った結果、こうした組織へと変更することを決定した」と説明する。
同社がここまで日本地域に注力する背景には、日本地域がアジア・太平洋地域における売り上げの10%を占める地域である、というのが1点。もう1点が「世界売り上げに占める日本のサプライヤの割合が10%ある。そうした点では、日本市場は、日本の電子部品などのサプライヤの製品を世界に届ける、という意味でも重要な位置づけがなされる」(同)というもので、日本法人は日本のサプライヤからのさらなる製品調達といった任務もこなすこととなる。
「Mouserのミッションは日本市場のビジネスを拡大することだが、それ以上に、強い日本の電子部品の存在感を世界で高めたい」と横氏は語る。世界でのシェア下落が続く半導体を尻目に電子部品分野の企業の多くは高いシェアを有しているが、現状の同社の売り上げの多くが半導体であり、電子部品が占める割合はそれほど多くないとのことで、横氏としては、そうした部品メーカーを、グローバルでさらに活躍させたい、という想いがあるようだ。