日商エレクトロニクスは6月16日、米国Liquidware Labsと4月1日に締結した包括的戦略提携契約に基づき、VDI(デスクトップ仮想化)環境を対象とした4つのサービスを提供開始した。
日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部 長 青木俊氏は、新サービスを提供するに至った背景について、次のように説明した。
「われわれは1997年にVDIを提供するシトリックスが日本に上陸した時から20年にわたり、同社の販売代理店をしているが、その中で仮想デスクトップ導入における課題に遭遇してきた。その例としては、サイジングの失敗、性能劣化などの問題の原因を特定できない、従業員尾働き方などの変化に対応できないことが挙げられる。この課題を解決すべく、2012年よりLiquidware Labsの製品を販売してきた。今回、同社の製品を販売するだけでなく、その使い方などのノウハウを提供するため、パートナーシップを強化し、新サービスを提供することにした」
Liquidware LabsはVDI環境導入にあたってのアセスメントツールを提供しており、データをもとに客観的なサイジングの評価などを可能にする。
青木氏は、VDIの普及に伴って顧客から受けた要望のうち、最も多かったのが「正確にサイジングしたい」で、次に多かったのが「問題がどこにあるのかを知りたい」ということと述べた。これらのほか、「簡易的なモニタリングがしたい」「VDIへの移行作業をサポートしてほしい」という要望も多く、この4つの要望に応えるのが、今回発表されたサービスとなる。
今回、提供が開始されたサービスは「VDI適合調査サービス」「VDI課題調査サービス」「クラウド型VDI 定期診断サービス」「プロファイル移行サービス」の4種類だ。
VDI適合調査サービスはVDIの導入を検討している企業を対象にしており、物理PC環境の利用状況を正確に把握することを可能にする。その特徴は、「アプリやプロセスの消費リソース、どのユーザーがどのアプリを使っているかなど、掘り下げた形でレポートを作成できること」だという。価格は150万円から(税別)。
VDI課題調査サービスはすでにVDIを導入している企業を対象としており、VDIの課題に対する原因究明と課題解決に特化したサービス。青木氏は同サービスの特徴について「ソフトウェアがやることはごく一部であり、Liquidware Labsと共に、VDIのエキスパートが経験値に基づくノウハウを提供すること」と語った。価格は300万円から(税別)。
クラウド型VDI 定期診断サービスは、VDIを導入した企業を対象にVDIの運用を支援するもの。毎月1回、利用状況のモニター結果を簡易レポートとして提供するが、予防のためのサービスなのであえてシンプルで安価にしているという。使いやすさは価格にも現れており、月額5万円からとなっている(税別)。
プロファイル移行サービスは、物理環境からVDI環境への移行に際し、PCの中に入っている個人特有のプロファイルデータを移行する、Windowsクライアントの移行サービス。Windows XP/Vista/7/8/10に含まれているユーザープロファイルをOSから切り離して統合管理する。価格は100万円から(税別)。
Liquidware LabsのPresident & COOを務めるChris Akerberg氏は、日本市場に進出する理由について「米国で成功が証明されているわれわれのビジネスを日本にも展開したい」と語った。
Liquidware Labsは、VDI環境に対し「ユーザー環境管理」「アプリケーション・レイヤリング」「モニタリングと診断」という3つの分野の製品を提供している。ユーザー環境管理を担う製品が「ProfileUnity」、アプリケーション・レイヤリングを担う製品が「FlexApp」、モニタリングと診断を担う製品が「Stratusphere」となる。
Akerberg氏ははこれらの製品により、計画、導入、運用といったVDIにまつわるあらゆるステージをサポートすることができると、同社がVDIを包括的にカバーできることをアピールした。