大塚製薬と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は6月13日、国内の精神科医療に対するデジタル・ヘルス・ソリューション事業を行うため、医薬品事業から独立させた合弁会社である「大塚デジタルヘルス」の設立で合意し、契約を締結したと発表した。
新会社は、大塚製薬が持つ中枢神経領域の専門知識・経験と日本IBMの技術を融合して共同開発したという、データ分析ソリューションである「MENTAT」を販売する予定とのこと。 これにより、医療機関に存在する膨大なデータを統合・分析し、治療の質の向上や有用性の高い情報の共有など医療上の課題に対するソリューションを提供するとしている。
国内における精神疾患の患者数は約320万人(2011年、厚生労働省調べ)で増加傾向だという。精神疾患を有する患者の症状や病歴などの情報は電子カルテなどに自由記述で入力することが多いため、従来の技術では膨大な情報を統合・分析したデータベース化が難しく、臨床の場での利用範囲が限られていたとのことだ。
新ソリューションは、大塚製薬の知見とIBMが持つコグニティブ・システムである「IBM Watson」を融合させ、膨大なテキスト・データを言語解析しデータベース化することで、医療従事者は参照したい症例を絞り込み抽出できるという。
これらのエビデンス情報を共有したり治療に反映したりすることで、治療結果の向上に繋がることが期待されるとしている。
なお、新会社の設立予定日は6月17日。資本金は2億6700万円、代表取締役社長には清水泰喜氏が就任予定であり、本社は東京都千代田区。持株比率は大塚製薬が85%、日本IBMが15%。