ネットアップは6月13日、同社が提供するストレージOSの最新版となる「NetApp ONTAP 9」を発表した。日本では、6月末より提供を開始する。
また同社では、最新版のONTAP 9をリリースするにあたり、OSの名称も変更した。
従来のClustered Data ONTAP/Data ONTAPは「ONTAP」に、Cloud ONTAPは「ONTAP Cloud」に、Software Data ONTAP/sDOT(code name)/DAta ONTAP Edgeは「ONTAP Select」にそれぞれ名称変更する。
ONTAP 9では主として、インストレーションと管理のシンプル化、フラッシュの容量効率やパフォーマンス改善、データ保護/セキュリティの3つの分野で14の新機能が搭載されている。
フラッシュの容量効率やパフォーマンスの改善では、15TB SSDを採用。また、Read/WriteのI/Oパス、リソース スケジューリング、メッセージログプロセシングなどの最適化を行い、パフォーマンスを改善を行ったという。
ネットアップ 最高技術責任者 近藤正孝氏は、15TB SSD採用について、「フラッシュストレージはパフォーマンスとともに大容量化でも注目されている。昨年の秋は800GB程度のSSDだったが、それが1.6TB、3.8TBと来て、ついに15TBのSSDが供給されるようになった。我々はこれをいち早く採用する。たとえば、1PBの容量のストレージを確保するのに、SASディスクであれば2台以上のラックが必要だが、15TBのSSDを使うことで、8Uのラックスペースで済む。設置面積も消費電力も1/11だ」と15TBのSSD採用のパフォーマンス以外の効果を説明した。
また、同社は「ヘッドルーム」という、同社の特許技術を活用したレイテンシベースの新しい性能指標も導入した。従来はCPU、ディスク、メモリの使用量を分析して、最大性能を見極めていたが、ヘッドルームはレスポンスタイムの増加曲線をシステムが導きだし、最大性能を予測する。これによってシステムの余力を判断でき、運用の簡素化を実現できるという。
インストレーションと管理のシンプル化では、AFF(NetApp All Flash FAS)の高速プロビジョニングワークフローを採用。ワークロードのユースケースとしてOracle、SQL Server、VMware、Hyper-V、XenServer等を選択すれば、そのあとのパラメータは1画面で収まり、セットアップが10分で完了するという。
セキュリティにおいては、RAID-TEC3重パリティ保護を導入。従来はRAID 6ベースの2重パリティだったが、今回3重化することにより、堅牢性とともにRAIDのサイズもより大きなRAIDグループをサポートした。
来日した米NetApp ONTAP 製品担当 副社長 ジェイ・サプラマニアン氏はONTAP 9について、「ONTAP 9によってフラッシュ、ディスク、クラウドの共通基盤ができた。仮想化、ベアメタル上、OpenStack上やアナリティスのアプリを動作させる柔軟性も持っている。また、今回のバージョンではONTAP 8.3に比べパフォーマンスが40%改善する。今回は大きなアーキテクチャ変更をしていないので、既存の顧客はスムーズに移行できる。ONTAP 9はこれらにより、デジタルエンタープライズのサバイバルツールとして大きな役割を果たすようになる」と語った。